ド派手な継子 壱

参拾話 激励 ページ31

「さーねみくーん!あーそーぼ〜」

「うるせぇ！」



呼び鈴のないどデカい門にどうやって不死川さんを呼ぼうか悩み最終的に叫んでみたが何故か怒鳴られてしまった。



「おせぇぞ。何時間待たせりゃきがすむんだよ…」

「すみません。迷ってしまって……」

「一回来たことあんだろぉがよォ…」

「いや、行くかどうかを」

「そこ迷うとこじゃねぇだろぉが!」



相変わらず血の気の多い不死川さんを無視して屋敷に入る。



「あっ、これ。お礼の品です。中身は私も知りませんが。」

「受け取ったからとっとと帰れ。」

「えぇ、お茶ぐらい出してくださいよ。」

「クソが！」


酷い言葉だがなんだかんだ言ってお茶をいれてくれるのが不死川さんのいい所である。


ぼ〜と、広い庭を縁側で眺めていれば不死川さんの気配がして振り向けば思った通り立っていた。




「ありがとうございます。箱の中身はおはぎだったんですね。」

「それ、食ったらとっとと帰れよ。」



不死川さんは私の隣に座って彼もおはぎを手に取りパクリと食べ始めた。




「私、ようやく来年最終選別受けるんです。」

「……そぉかよ…」

「ちょっと怖いですけどなんだかんだ言ってワクワクしてる自分にちょっと驚いてます」

「……」



不死川さんは相槌はうってくれたが彼から話すことがなく直ぐに沈黙が流れた。

しかし不思議とその時間は不快ではなかった。




「それじゃあそろそろ帰りますね。」

「……A。」

「はい？」

「…………頑張れよ…」




そう言うと不死川さんは照れたように頭を掻きながら部屋の奥に行ってしまった。


不死川さん、師匠、雛鶴さん、まきをさんに須磨さん。胡蝶さん、そしてカナヲ……


いっぱい助けてもらった……あの時、師匠が私を助けてくれたから今の私がある。





「不死川さん……ありがとうございます。私、頑張ります！」




帰ったら絶対に師匠にお礼を言おう。

そしてあと1年で私の呼吸…唄の呼吸を完璧に仕上げるんだ！

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