page3 ページ3
「お邪魔します」
ゲームセンターで音ゲー以外のほぼ全てのゲームに惨敗したあと、私はキヨに連れられてキヨの家にお邪魔することになった。
キヨは一人暮らしで大学に行きながらバイトして生活しているらしい。
(もしかすると私あまりキヨのこと知らない…)
悶々と考えているうちにキヨの部屋に着いたらしくキヨが鞄から鍵を取り出していた。
「狭くて悪ぃな。上がって上がって」
男の人の家になんか入ったことがないから、ついつい周りを見渡してしまう。
小綺麗に片付いていて、あまり物がない。
「その辺に座って」、と言われたので私はテレビの正面のこたつに座った。
「お茶でいい?俺コーヒーとか紅茶あんま飲まなくて」
「知ってるよ、そんな気使わなくてもいいのに」
「いやなんか緊張するなって」
お茶とお菓子を持ったキヨが、私の隣に座る。
こたつと言ってもそんなに広くはないためかなり狭い。
「なんで横に座るの」
「恋人同士じゃん」
こうなるとてこでも動かない。
キヨのしつこさはあの1ヶ月でもう学習していた。
「キヨの足って冷たいよね」
「おう、いつも人間ゆたんぽ助かってました」
同じベッドで寝ていた時、キヨの足がとても冷たくて驚いたものだ。
キヨは「お前あったかいな、丁度いいわ」とよくくっついてきたが。
「私、キヨのこともっと知りたい」
「お?」
「なんていうかその…1ヶ月一緒にいたのにあまりキヨのことちゃんと知らないのかなって…今日一緒にいて思っちゃって」
「なんか聞きたいことある?」
「そう言われるとあんまり思いつかないんだけど…」
「これからずっと一緒にいるんだから気になったことがあればその都度聞けばいいだろ」
「うん、そうだ…」
今、なんか物凄い言葉を聞いた気がする。
キヨは特に気にした素振りもないから意図があった訳ではないのだろうと判断し、私は首を縦に振った。
「じゃあ俺が質問していい?」
「うん、どうぞ」
「今日ご飯食べて帰る?」
「あー多分大丈夫。お母さん遅いから」
「俺のこと好き?」
「……………うん」
「今日泊まってくよな?」
「何言ってるの?」
「チッ」
66人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「キヨ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:巡 | 作成日時:2019年12月26日 12時