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「はあ…」
「キヨ溜息?なになに」

大学の授業が被っていたフジがどかっと俺の隣に座ってきた。
正直癪だが今誰かに聞いて欲しいことがあるのも事実だ。

「いや、誕生日プレゼントをだな…」
「誕生日?誰の」
「彼女」

ぽんぽんと交わしあっていた会話が急に止まった。
不思議に思いフジのほうを見るとポカンと口を開けて硬直していた。

「おい」
「あ、悪ぃ。え、彼女?いつできたの」
「…二週間前」
「俺の知ってる人?」
「いや」
「教えてくれなかったら協力しようにも出来ないんだけど」
「……はい」

Aとのツーショットをフジの前に掲げた。

「普通に可愛い」
「は?可愛いに決まってるだろ」
「けどちょっと幼くない?」
「歳下だし」
「へー。単純に何が欲しいのか聞いてみたら?」
「…25日なんだけど誕生日。どうしたらいいと思う」

**

昨日21時を過ぎてそろそろ帰ろうと玄関に向かった時。
目に入ったカレンダーに俺は釘付けになった。
25日に赤い丸。

(クリスマス何か予定があるのか?)

「Aこれ…」
「え?カレンダーだけど」
「いや分かるわ。お前俺を何だと思ってるんだよ。そうじゃなくて!この赤い丸」
「ああ、誕生日なの」
「誕生日?クリスマスに?お前1度もそんなこと言わなかったじゃん」
「聞かれてないもん。それにキヨの誕生日だって私知らないよ」

確かに。
教えてもいなければ教えて貰ってもいなかった。
俺は八月だから、と告げるとAはご丁寧にカレンダーに印を付けていた。
A曰く、「人の名前も覚えるの苦手だから誕生日なんて論外なんだよね。だから大事な人の誕生日はメモってる」らしい。

「ふーん。じゃあ24日はあけとけよ」
「え?」
「デートするだろ?」

Aは直球な言葉に弱い。
あからさまに顔を真っ赤にして伏せていた。

「リア充みたい」
「リア充だろ。行くの?行かないの?」

これで行かないと言われたら一週間は外に出れない。

「行く」
「おう」

**

「クリスマスですか。はー。ムード満載じゃん」
「はー。どうしよ」
「その子の欲しがりそうなもの思いつかないわけ?」
「うーん。あいつが喜びそうなの美味い飯ぐらいしか分からん」
「装飾品は」
「あんまチャラチャラしてないんだわ、フジみたいに」
「おい」

結局Aに直接聞くのが1番早いという結論に至りフジと別れた。
最初からAに聞いておけば良かった。

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作者名: | 作成日時:2019年12月26日 12時

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