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今日はほんの少し、少しだけお洒落をして外に出る。
元々あまりそういうことに興味がなかったものだから、母親にすこし…いやかなり怪しまれたが、なんとか友達と映画に行くのだとはぐらかして外に出た。
そう、今日はキヨと初めて会う日。
最寄りの駅で待ち合わせのはずなのだが、どこにいるのか見当たらない。
時刻は11時30分。
着いていてもおかしくないのだが…。
「A!」
「ひゃあっ」
後ろから抱きつかれる。
こんなことをする奴は一人しかいないのだが、相変わらず慣れない。
「さしぶり、A」
「もう少し落ち着いた再会出来ないの?」
「俺は行動で表すタイプだから無理」
1ヶ月、行動を共にしてきたはずなのに。
未だにこの男の考えていることは理解できない。
「…Aは嬉しくないの?」
「…う、嬉しいけど…」
「なら問題ないよな」
キヨの手が私の手元まで降りてきて、優しく握られる。
「キヨ」
「ん?」
「あれ言ってよ」
「あれ?」
「私まだ一度も聞いてない」
「あー…好き」
「…うん」
そんなに照れながら言われると、こっちも恥ずかしい。
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作者名:巡 | 作成日時:2019年12月26日 12時