海とマーメイド

利用していいから ページ19

〜広臣side〜




『そっか。』


A:「ごめん…仕返しは無理…かも」









Aちゃんピュアだな。


あんな言い訳が本当だって信じ込んで

きっと、傷付けたくないから、仕返しをしたくなくなった



気付いてよ。たまには、優しさも捨てないと分からないことなんて沢山あるんだよ。


でもきっと、今の俺がそんな事言ったって、動じないと思うけど



俺は、Aちゃんの友達でも彼氏でもなんでもないから









『巻き込もうとしてごめん。…今日はもう帰ろうか。元々映画だけ見る予定だったし』


A:「うん…でも、楽しかった。」









それだけ言って、バイバイ。って、お互い現地で別れた



さて…どうしたもんかな


なんて、ポケットに手を突っ込んで歩いてたら









「あいつほんとにちょろすぎ笑」









なんて声が聞こえてきて

明らかに、Aちゃんの彼氏の声だったから、壁の陰に隠れて二人の会話を録音した









「プレゼント決めをしてるって言っただけで超嬉しそうだったよな笑」


〈あの子さ、きっと鈍感で、恋愛初心者だよね笑〉


「そうだよ。だってあいつの中で俺は、初めて付き合う人なんだってー」


〈えー？笑 超笑えるんだけどー笑〉









なんだ。こいつら


恋に一途な子をバカにしてんじゃねーよ。



この録音したものをAちゃんに聞かせたらきっと、別れるはず……









『って、俺何考えてんだろ』









こんなん聞かせたら、Aちゃんがもっと傷付くだけじゃん


あんなピュアで優しい子を、俺がもっと泣かせようとしてただけじゃん




俺の方がよっぽど最低だわ









『…消そう』









今、この事実を知ってるのは俺だけでいい。


Aちゃんは何も知らなくていい



俺のことを利用していいから

俺はいくら傷付いても平気だから




ちゃんと別れて、Aちゃんのことだけを思ってくれる人と出会って









『毎日笑っててほしいな』









そんなの、俺の自己満だけど

それが現実になるのもそう遠くはないはず



だから…









『ここで終わったら、ダメだ』

避けてないよ→←やっぱり…

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