第54話 ページ7
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任務中に余計な考え事など厳禁なはずなのに、
どうしてもさっきの光景が、私を嫌がる彼の表情が頭にこびりついて離れない。
自分の気持ちに整理がつかなくて、ちゃんと目の前のことに集中できていなかった。
ザシュ
『ぐっ…!』
油断した。
雑魚鬼の首を切り落とす時
不用意に間合いを詰めすぎたのか、相手の攻撃に当たってしまった。
鋭い爪が肩を引き裂く。
途端に広がる激痛と、血の匂い。
転がった鬼の首は、私に一矢報いることができ
「ざまあみろ」と嘲笑いながら消えていった。
悔しい、ムカつく。
「霧柱様!大丈夫ですか!!?」
「早く蝶屋敷へ…!」
『これくらい大したことない。自分で何とかするから後始末したらさっさと帰れ』
「でも血が……
い、いやっ失礼しました…っ」
駆け寄る隠を止め、
それでも引き下がろうとしないからひと睨みして追い払う。
さて、これからどうしようかな…
蝶屋敷には行けない。
蟲柱に治療されたら、絶対に女だとバレる。
だけど屋敷の包帯切らしてるんだよなぁ
……頼れるところは。
『やだな…でもしょうがないか…イタタ』
隠達がちゃんと後始末しているのを確認し、私はその場を去った。
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『ーーというわけで、包帯をもらいに来た』
不本意だけど、と付け加えると
言われた本人は心外だと言わんばかりの顔をした。
「…俺は言ったはずだ」
『相変わらず水柱様は言葉が足りなさすぎて、何のことだかさっぱり分からないなぁ』
わざとらしく肩をすくめて困ったフリをすると、冨岡の眉間に少し皺がよった。
いや表情変わってもその程度かい。
表情筋全然働いてないじゃん。
「無理するなと言った」
あぁ〜それのことか。
言われたような気もしないでもない。
『無理なんかしてない。少し考え事をしてて油断してしまっただけ』
「同じことだろう」
水屋敷の主人、冨岡義勇は呆れたようにため息をつきながら屋敷へ入れてくれた。
こいつの事は苦手だし、あまり頼りたくないけど
私が女だと知ってるのは彼しかいないので仕方ない。
バレたのは誤算だったけど
頼れる人がいて良かったかも、
なんて思ったりもした。
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れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時