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第92話 ページ46





兄の言葉が私に浸透していく。






自由に生きる。


もう、叶わないことだと思っていた。







「Aは、明るくて優しい良い子だ。

お前が何も考えずとも、ありのまま生きればきっと周りに愛される。

私がお前を愛したように」




『……はい…っ』






兄から離れ、神父様と向き合う。

彼は目尻にシワを寄せ、笑っていた。







「ならばもう帰りなさい。

随分とこちらに長居してしまったようだから、きっと心配されているに違いない。

さぁ、A。引き返しなさい」



「俺たちはこれからもAを見守っているよ」






パシャパシャと水を蹴って駆け出した。


岸について振り返ったら、2人は手を振り消えていった。







でも大丈夫。

もう寂しくなんかない。

2人はいつも、私と共に。






来た道を引き返す。


どこに行けば良いかなんてわからないけど、とにかく走る。






そのうちに視界が眩しくなってきた。



温かい光に包まれるような、優しい空気が纏う。






ああ、戻れるんだ。



そう思った時。









『!!』







目の前に女性が現れた。


金色の髪、青い瞳。




こんなに綺麗な人がいるのか、と思った。


思わず見惚れていると、その人はこちらを見て微笑んだ。







「………A」


『…え?』






もう意識が遠くなってきている。

だけど確かにその人は私の名を呼んだ。




何か喋ろうと思っても口が動かない。

ダメだ、全然体が言うことを聞かない。


この人の事を少しでも知りたいのに…!






「可愛いA。私の…」





そう言って撫でられる。





その瞬間、目頭が熱くなった。






知らない人のはずなのに。


その声、その温もりは記憶にないはずなのに。








頭では忘れていても、

私の体が、魂が、覚えていた。



この人は、私の……!








『おかあ、さん…?』







なんとか振り絞った言葉は、ほとんど言葉にならなかった。


だけどその人は、驚いたように目を見開いた後、花が綻ぶように破顔した。








本当に綺麗な笑顔だった。

それが自分に向けられている事が嬉しかった。





私、捨てられたわけじゃなかったんだ。


ちゃんと愛されてたんだ…!







私も、精一杯の笑顔を返した。







「A。どうか、幸せになってね…」








そして私は、光に包まれ意識を失った。

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れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時

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