男装柱-弐-【不死川実弥】

第93話 ページ47

・






『………………

……………………はッッ！！』





ガバッ！






飛び起きたらそこは蝶屋敷の一室だった。







『ッッ！痛ああい！！』






飛び起きた反動が全身に来る。



なにこれ痛すぎじゃない？




なんか、怪我の痛みというよりは、

凝り固まった筋肉を無理やり伸ばした痛み？って感じ…




もしかしてかなりの長い間寝てた、とか…？





窓の外を見ると、木々が赤や黄色に色づいていた。







『え！嘘でしょ…！？』






今、秋なの！？

この前まだ春じゃなかった！？




半年近くも眠っていたという事…！？







信じられない。

夢の中での出来事は、一瞬だったのに。






『………』







兄さん、神父様。



そして、お母さん。







私、帰って来れたみたいです。







『(…生きてる)』






なんとか失わずに済んだこの命。


これからは、自由に生きよう。





そのために、精算しなきゃいけないことが山積みだ。






『まずは人を呼ばないと…

っ！イタタ…』






ベッドから降りたら、立っているだけで足がプルプルした。


そういえばあの時、猗窩座に足の骨が砕けてるって言われたっけ。

それに加えて半年もの臥床が続いたんだから仕方ない。





自由に生きると意気込んだは良いものの…

前途多難すぎる。





残念だが病室から出るのは諦め、誰か人が来るまで待つ事にした。

今日中に誰かには会えるだろうし。






…せめて澪がいればなぁ。


窓辺には、ちぎったように摘まれた花がたくさん、無造作に置いてある。

多分彼女が持ってきてくれたんだろう。

随分と可愛らしい事をしてくれる。




きっと澪にも寂しい思いをさせてしまった。

あの子にも早く会いたいな。






ぼんやりといろんな事に思いを馳せていた、

そんな時。






「猪突猛進ーーーーーッッ！！！！」





そんな声と共に、




バァンッ




病室の扉が破壊された。







『………………え？』

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