第49話 ページ2
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『ごちそうさまでした』
「おォ」
不死川と話をして彼について色々知ろうと思って来たのに、結局は甘味を頂いてまったりするだけの時間になってしまった。
無計画にこんなことするからだよ…
我ながら無鉄砲なことをしたなぁと反省する。
『……』
「…どうしたァ?」
『いえ、何でも』
不死川はそうか、と言ってまた無言の時間が続く。
だけど、居心地は悪くなかった。
不思議な安心感に加え、温かい日差しや頬を軽く撫でていく爽やかな風が私を眠りへと誘おうとする。
このまま寝てしまうかも知れない。
それすらも許されそうな雰囲気の中、軽く目を閉じた時に不死川が口を開いた。
「…俺と話してみて、どうだった」
『え』
スッ、と眠気はどこかへ飛んでいく。
何のことか分からなくて呆けていると、不死川がごもごもと話しだした。
「お前最初、話をしたいって言ってただろ。だが俺ァこうやって人と話すのに慣れてねェし、全然気の利いた話もしてやれなかったしよォ…
……期待外れだったんじゃねェかと思って」
…なるほど。
こちらの様子を伺う不死川に、思わず笑いそうになる。
可愛いと思ってしまうのは変だろうか。
『いいえ。私はとても満足していますよ』
正直、もっと知りたいことはある。
でもそれは不死川にとって辛いことを思い出させてしまうかもしれない。
会ったばかりで傷口を抉るような真似をする必要もないだろう。
鬼殺隊風柱の印象とは程遠い、
優しくて、思いやりのあって、年相応な振る舞いをする一面が知れただけで十分だ。
「あっそォ」
私の言葉を聞いた彼は、
ぶっきらぼうな返事をしつつも少し嬉しそうな顔をしていた。
『貴方は私のこと、どう思いましたか』
思わずそんな言葉が口から零れ落ちた。
まずいと思い撤回しようと顔を上げる。
すると隣には、険しい顔をした不死川が。
なんて難しい顔をしているんだ…
そんな言えないような…
「……可愛い奴だと思ったァ…」
……は。
不死川はギリギリ聞こえるくらいの小声で言い、
その顔は一気に真っ赤に染まった。
思いがけないその言葉に、私の体温も上昇していく。
ーーこんな気持ち、初めてだ。
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れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時