第50話 ページ3
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ーーーー君、可愛いじゃん。こっちおいでよ。
ーーーーちょっと可愛いからって調子に乗らないで。
ーーーー顔は綺麗だから金にはなりそうだな。
こんな台詞ばかりが記憶から掘り起こされる。
今まで私はこの言葉に傷つき、不快な思いをしてきた。
だから、"可愛い" とか "綺麗" とか、そうやって言われるのは好きじゃないし嬉しくも何ともなかった。
だけど。
「いや、今のは忘れろォ…」
自分から言い出したくせに照れまくるこの男の口から出たその言葉は、
私の心をぽうっと温かくしてくれた。
その言葉の意味を素直に受け取れたし、素直に嬉しいと思えた。
言葉の意味は変わらないのに、
優しくて、誠実な彼の口から出てきただけでこんなにも受け取り手の印象は違うものなんだなぁ、なんて冷静な頭の部分で分析をする。
『……はじめて』
「あァ?」
怪訝そうに眉を寄せる不死川。
だけどやはり、風柱の時よりは穏やかな表情だ。
『そうやって言われて、初めて嬉しいと思った。なんでかはわからないけど…その、あなたから貰った言葉、大事に覚えておきたいと…思って……。
……え、と…。なので、忘れたくない…です』
どんどん歯切れが悪く、尻すぼみになる。
ついでに声も小さくなっていった。
だって、途中で自分が恥ずかしいこと言ってるんじゃないかって気づいたから。
やっと赤みが引けていた不死川の顔に、瞬く間に赤みが戻っていったから。
待って。
…は、恥ずかしすぎる……!!!!
どうもおかしい…!
普段なら絶対言わないようなことばり言ってるんだけど!どうしたの私!
『……ごめんなさい』
もはや誰に何を謝っているのかもわからない。
「俺も、忘れてやるつもりはねェぞ」
『っ!!』
これで、おあいこなァ。
そう言ってニヤリと不敵に笑う不死川。
さっきまで真っ赤になってたくせに、どうして。
『〜〜〜〜っ、か、帰ります…!』
「…!待てェ」
居た堪れなくなり逃げようとする私の腕を、がっしりとした傷だらけの腕が掴んだ。
「次、いつ会える」
大きな目が真っ直ぐに私を見据える。
『(……あ)』
この人、私とまた会いたいって本気で思ってるんだ。
そう自覚した時、
ドクンと一拍、心臓が跳ねた。
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れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時