【銀魂】沖田隊長、おはようございます【沖田総悟】

すべて真実 ページ18

「…いや、Aに飯あーんしてもらったり布団かけてもらったり服着せ変えてもらったり出来なくなんのかな〜と思って」

「羅列されるとなんか恥ずかしいのでどうかやめて頂けませんか」

「あ〜、あと痛いの痛いの飛んでけとか」

「やめて頂けませんか！！」


そうつい声を大にして先程と同じ言葉を繰り返すと「ここ病院だから、しー」と人差し指立て、それを口元に持っていって私をたしなめるように彼は言う。まるで小さな子供が静かにしなければならない空間ででうるさくしてしまって、それを母親が静めるように。いや、声が大きくなってしまったのは悪いし、ここが病院の病室であることを忘れかけてしまったのも事実だが、忘れないで頂きたいのが今のは彼のせいで起こってしまった事態であるということだ。やめてくれと言っているのに彼がやめてくれなかったからだ。私だけが悪いんじゃない。元はと言えば彼が悪い。

私は沖田隊長に目を細めて睨むような視線を向けるけれど、彼はわざとらしく口笛を吹き始めた。元気になってくれたようで何よりだ。本当に何よりだ。

私はというと溜め息をひとつ漏らして。そして思い出すのは沖田隊長が目を覚ましてからの日々のことである。


冒頭にて沖田隊長が言っていたことについて。あれらはすべて真実なのである。

彼が目覚めてからすぐ。傷はそれなりに癒えてはいたけれどそれでもまだ痛みがあったようで、彼は食事をするのが少し大変そうだったのだ。時折痛みに耐えるように顔を歪ませて食べ進めていたものだから、最初のうちは私が彼の食事を手伝ってあげていたのだ。所謂、そう、あーんという形で。
彼がリハビリを終えてベットに帰ってきたときに布団をかけてあげたり、着替えを手伝ったり…まぁ諸々はやった。そしてその中でも一番恥ずかしかったのは痛いの痛いの飛んでけの奴である。

天気が悪い日だった。天気が良くないと傷の痛みが出てきたりして、彼は銃弾に貫かれた腹部に痛みを感じてベッドの上で辛そうにしていた。そんなときに私はどうしようもなくて、『何か出来ることはありませんか』と彼に問い掛けたのだ。すると彼は応えた。『痛いの痛いの飛んでけしてくれたら、良くなるかもしれねェなァ』と。

そんなことで彼の痛みが本当に和らぐなんて思わなかった。けれど、苦しそうにそう言った彼はそれでも笑っていて、それが私を安心させるためのものだと分かった。

彼の痛みを消してあげられるような魔法なんて使えない私は、その呪文を唱えてあげることしか出来なかったのだ。

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