染まるよ。 (ページ6)

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俺の見つけた声優はページ6

ｶﾗﾝｶﾗﾝ
「いらっしゃいま…って江口さん！？」
「セトちゃん！！！！！凄い事しに行くよおおおおお！！！！！！！！」
「え！？何！？びしょ濡れですよ！」
「今抜けれる！？」

セトちゃんは鏡を拭いていて、オーナーはレジでスマホゲー。え待ってその装備、重課金じゃん！ってそうじゃなくて……よし、お客さんはいない。
一瞬で状態を理解して仲良しのオーナーにお願い！セトちゃんを貸して！と念を込めた視線を送る。

「オーナー…ってグーサイン出してんだけど何！？」
「ありがとうオーナー！後でフレンドになって！さあセトちゃん、行こう！」

さすがRPGで一番最初に村の状況を説明して行くべき場所を教えてくれるおじさんにいそうな風貌をしてるだけあるな…！察してくれた！
セトちゃんの手を掴みながら走って走って、大きなスタジオにびしょ濡れなまま入る。

「ぜぇ…ぜぇ…っこの人！！！！！！代役できます！」
「はぁ…はぁ…って、はぁ！？」

動揺しているセトちゃんを無視して、監督に真っ直ぐな目で伝える。

「よっしゃマイク前かちこんじゃって！その声運命感じた！」
「はい！監督！」
「え！？この方監督！？」

ぐいぐいと背中を押して録音室に入れさせる。

「ほら入って入って。台本のページはこれで、この名前のセリフね。ここからここまで。ジャラジャラ言うものは…着けてないね。よし！一回今から映像確認させてくれるって。思いっきり叫んで。ボケが多い人に接客してるみたいに！」
「マジで言ってるんですか！？」

「俺も監督も、大マジ。」
「…は…ぃ」

ごめんねセトちゃん。

俺すごいドキドキしてるんだ。

さすがにセトちゃんまでは行かないかもだけど、俺は今から奇跡が起こるんじゃないかって、人生で感じたことがないくらい胸が高鳴っている。

どう魅せてくれるんだろう。俺の見つけた声優は。