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｢菊田さーん！終わりましたよ！｣
菊｢よし！さっぱりした｣
杉｢これ菊田さんの軍服？｣
軍服を手渡された杉本はまだ茶目っ気の残る顔で聞く
菊｢ああ汚すなよ。花沢勇作の学年だと階級は軍曹。俺もいま軍曹だから袖章も同じ。襟に星をつけりゃ候補生の出来上がりだ。｣
杉｢士官学校に替え玉なんていくらでもいるでしょ？なんで俺なんですか｣
菊｢バカ野郎、陸軍の人間を使えば花沢閣下夫婦の悪い噂が立つだろうが。 おら..帽子もかぶってみろ｣
帽子を受け取ると杉本は鍔をもってそれらしいポーズをした
｢おお、似合うじゃん！｣
菊｢うん、似合ってるぜ やっぱりノラ坊の顔には品がある。
花沢勇作は高級将校の坊ちゃんだからな... お前は顔に説得力があるんだ。ひと目で気がついた。｣
杉｢軍隊に入れば飯には困らないですかね...｣
頬を赤くしながらそういう杉本に微笑んでいたAは
菊田の顔を見ると表情を消しそっと手を握った。
菊田は驚いた顔をしたが、Aが弟を思い出す自分を慰めてくれていることに気づき少し微笑んだ。
菊｢さてと、見合いの席では食事をするそうだ。向こうは距離を出来るだけ縮めたいっていう作戦なんだろ。料亭でうまいもんが食えるぞ
ただちょっと訓練が必要だな。見合いの日までに少し内面も磨く必要がある。｣
菊｢器は重ねるな！お椀の蓋は裏返しにして外側に！わさびは醤油に溶かすな！｣
杉｢はいッ軍曹殿！！｣
例の食堂にて突如始まった勇作殿作戦。
菊田の熱血指導を受ける杉本の横でAは
作法など気にせずもりもりと口に頬張っていた。
菊｢たく、お前は作法とか気にしてないのによくそんな綺麗な食い方ができるな｣
そうは言われたが自分では全くわかっていなかった。
だがたしかにこの時代に比べると自分が生きていた時代は、
SNSに食べる動画をあげただけで
口を開けて食うな、食べ方が汚すぎる。
と他人に指摘されてしまうような世の中だったから
割と意識をしているのかもしれない。
菊｢よし！今日は終わりだ！明日もやるからな忘れんなよ｣
杉｢はいッ軍曹殿！！｣
まだ訓練モードが抜け切ってない杉本に
Aは思わず爆笑してしまう
菊｢さあ、帰ろう。あっという間に日が暮れるぞ｣
｢じゃあね！佐一！｣
杉｢ちょっと待てA。｣
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作者名：百 | 作成日時：2024年1月24日 0時
