【金カム】祝福された道 (ページ8)

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8.(菊田-side) ページ8

｢亡くなってしまうんです。最終的には。｣

そう言うAの顔には苦しげな表情が浮かんでいた。

愛想がよく、明るい。

誰が見てもそんな印象を持たせるAだが、決して表情豊かというわけではなく、

自分の感受性の薄さを隠すような笑みだと感じてた。

そんなAがここまで表情に出してしまうのは、その人物が本当に大事な人だったのだろう。

冷静に分析している頭とは裏腹に心は今までに感じたことの無いふわふわとした雰囲気に包まれているのがわかる。

この世界の人。最後まで苦しんで。

馬鹿なことを考えるのはよそう。そう言い聞かせるが、

誰か違う男が好きならAはなぜ俺の元に最初に現れたんだ？
という、いかにも自分に都合の良い考えが浮かんできてしまう。

｢それで、多分その人を救うために来たんです。言ったでしょう？さっきも。｣

Aは菊田に目を合わせながら微笑む。

その表情がますます利己的な考えを加速させるような気がして、思わず目を逸らした。

それを誤魔化すようにAの額に手を当てぐいっと押すと

｢目的はよくわかった。だがあんま、そういう顔を男にするもんじゃない。容姿が整ってるんだから勘違いする阿呆もいる｣

｢え？あ、はい｣

しどろもどろになりながらAは下を向く

耳まで赤くなる姿に、それも駄目だろ。と思ったが声には出さなかった

そういえば最初に頭を軽く撫でた時も、名前で呼んだ時も、赤くなっていたような気がする

いや、気のせいだ。もしかしたらこいつは男に慣れていないだけかもしれん。というか会ったばかりの嬢ちゃんに何をこんなに悩むことがある？

菊｢明日はノラ坊と飯を食いに行こう｣

急に立ち上がったと思えば早口で話し出す菊田にAは驚いていたが

｢はい、おやすみなさい｣

微笑みながらそう言った

今夜は寝れんな。床に寝転びシーツをかけながらそう確信した