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菊｢なんで喧嘩になった？｣
杉｢向こうが先に睨んだ｣
菊｢くだらね...ノラ犬かよ
お前あのまま連行されてたらただじゃ済まんかったぞ。
俺が収めたんだからな！！それは忘れんなよ ノラ坊｣
杉｢なんすかノラ坊って｣
菊｢あるんだよ俺の地元に｢野良坊菜｣ってのが｣
杉｢それで？俺に何して欲しいんすか｣
見覚えのある会話に耳を傾けながらもAはぼーっと突っ立ていた
そこからの2人の会話は花沢夫婦の事情、勇作殿になりすます方法というものだった
花沢家、ね。 思わず尾形百之助の顔が浮かぶ。彼は今もどこかで寂しい思いをしているのだろうか
鶴見中尉に操られ、いずれ自分の父親を殺めてしまう
一刻も早く会いたい
Aの頭はすっかり尾形のことでいっぱいになっていた
菊｢嬢ちゃん、ごめんな立たせちまって｣
尾形のことを考えているうちに2人はすっかり食事を平らげていたようだ
それにしても、Aを見ている菊田はやはりどこか緩んだ表情だ
尾形だけでなくこの人の心も、救えたらいいな。
｢大丈夫です。でも、見てたらお腹すいたので後で食べるの付き合ってください｣
ああ、と返しながら菊田はAの頭に触れる
杉｢あんた、名前は？｣
｢赤西A｣
杉｢そうか、よろしく赤西さん｣
｢さん！？｣
Aが驚くのも無理はない。なにせ杉元がさんをつけて呼ぶのはAの記憶上アシㇼパと菊田以外いないからだ
杉｢さっき、茶碗を持ってきたのはあんただ。あんたにも世話になったということだろ｣
そう淡々と話す。なんて義理堅い、Aはそう思ったが年上にそう呼ばれるのは慣れていない
｢いや、いいよ。私も名前で呼ぶから、教えてくれる？あ！下の名前だけでいいよ｣
杉｢あ？ああ、そういうことなら。佐一だ。よろしく、A｣
｢うん、よろしく佐一｣
菊田に杉元という名を知られてしまえば、ノラ坊=不死身の杉元と結びついてしまう
そうすれば未来が変わってしまうかもしれない
菊｢仲良くなるのはいいことだが、嬢ちゃん｣
菊田はぐっとAの顔に近づける
菊｢なんでも知ってる俺にはいつまで嬢ちゃんって呼ばせる気？｣
｢なんでも知ってるって、じゃあ赤西でいいですよ｣
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作者名：百 | 作成日時：2024年1月24日 0時
