【金カム】祝福された道 (ページ4)

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｢救う、そうですね、多分｣

菊｢確証がないのか？まさか自分の意思で来たわけではないと？｣

｢そのまさかですね｣

菊｢嬢ちゃんの世界では物語だった、ということはこの世界の誰がどうなるかとか分かっているということか？｣

｢はい、そういうことになりますね｣

菊田はふむ、と机に腰をかけながら悩ましげな顔を見せた

｢あの！ここってどこですか？あと今は西暦何年ですか？｣

この世界に来た目的について話していたら、

一刻も早く現状を理解しなければいけないという気持ちが湧いてきた

菊｢今は1901年だ。場所は、作中にはなかったのかい？｣

1901年、Aは繰り返した

てっきり物語の終盤の菊田の元に来たと思い込んでいたが、それにしては若すぎる。

それに、｢菊田軍曹？｣Aは呟く

私の知っている菊田は特務曹長だった

ということは、ひとつ思い当る場所があった

｢ここは、陸軍士官学校ですか？｣

陸軍士官学校、そこは菊田が第一師団に所属していた時に勤めていた場所だ

菊｢驚いた。これはもう信じるしかないな｣

菊田は愉快そうに笑う

先程も思ったが、菊田杢太郎という人物はこんなに表情が豊かだっただろうか

笑うと言っても愛想笑いのような顔。それ以外はだいたいどこか穏やかなような顔をしているだけ

それがAからする菊田のイメージだった

そんな思考をめぐらせていると心を読まれたかのように

菊｢俺は、物語の中の印象と違うか？｣

少し顔を近づけてそう言われた

｢正直言うと、違います。私の知ってる菊田さんはもっと、素性が読めなさそうな、不思議な方だったので。
こんなに表情豊かだとは思ってなかったです｣

菊｢そうか。たしかにこんなに笑ったのは弟がいた時以来だ｣

そう言うと、少し悲しそうに微笑んだ。

｢弟、｣

Aは菊田の弟の話を思い出しながら見つめた。

菊｢はは、話さなくても何もかも知られてるというのは案外楽なもんだな｣

なんだか弱みを見せられた気がして少し困っていると、Aは大事なことを思い出した

｢杉元！杉元にはもう会いました！？｣

記憶が正しければこの時代は杉本が東京に来て暴れているところで菊田さんに会うはずだ。