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｢尾形さん？起きてください｣
翌朝目を覚まして横を向くと尾形はまだ寝息を立てていた。
初めて見る寝顔に心臓がうるさく跳ね上がる音が聞こえる
尾｢...あ？｣
そっと目を開けたと思いきやいきなり喧嘩腰だ
｢あ？じゃなくて。もう起きないと訓練始まっちゃいますよ｣
尾形はスクっと起き上がると軍服を掴みボタンをつけ始める
尾｢なぁ｣
訓練頑張ってくださいねと言いながら扉を開けると後ろから話しかけられる
尾｢昨日はよく眠れたみたいだな？｣
寝れるわけが無い。
尾形はAの背を向け合って寝ようという提案を無視して、後ろから腕を回し思い切り抱き枕のようにしてきたのだ。本人は全く覚えていないようだが
｢本気で言ってます？驚くことにあなたが抱きついてきたせいで寝れなかったんですよ｣
尾｢だろうな、途中でお前の心臓の音が煩くて起きかけた｣
｢え...｣
嘘だ。自分で抱き締めているのに気づいたのにやめなかったのか？しかも後ろまで聞こえるなんて。
尾｢何突っ立ってる、早く出ろ｣
呆然としているAを尾形が無理やり押し出す
尾形が行ってしまうとAは1人廊下に棒立ちしていた
コンコン、
｢はい！え...誰ですか？｣
ノックする音が聞こえドアを開くと、いきなり抱きしめられて視界が塞がれる
｢なんで俺に何も言わず出て行く｣
｢菊田さん！？どうしたんですかいきなり｣
菊｢俺は駄目だって言っただろ｣
｢ごめんなさい。でも、こうするしか無かったんです｣
菊｢うん..わかってるよ
なぁ、この一週間ずっとお前に会いたかったんだけど..俺だけか？｣
しばらくの無言の後でそう言いながらさらに強く抱きしめられる
｢同じ場所にいるんだから会えるじゃないですか｣
菊田はやっと離してくれたが手は肩に置かれたままだ
菊｢そうもいかんだろ。お前が部屋にいる時間は訓練があるし、夜行こうとしたんだが...｣
宇｢山猫の女になっちゃいましたもんねぇ｣
いつからいたのか宇佐美がヒョコリと出てくる
菊｢宇佐美、その言い方いい加減やめられないのか？｣
菊田はAからバッと離れると頭をポリポリと掻きながら言う
｢なんで宇佐美までいるの？｣
宇佐美は訓練が終わる度、尾形の部屋に行くAに絡んでくるのでもはや話しやすい存在になっていた
宇｢鶴見中尉がお前に用があるって言うんだ。僕は呼ばれなかったのに！！｣
｢菊田さんもそれを伝えに？｣
菊｢そうだ、ひとまず行こう。こいつはめんどくさいし｣
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作者名：百 | 作成日時：2024年1月24日 0時
