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尾｢山猫の女｣
｢ん？なんですかそれ｣
尾形が訓練から帰ってきて銃を撃つのを見ながら寝てしまうという行為を繰り返して1週間経った頃、突然尾形が呟いた
尾｢知らんのか？お前のあだ名だ｣
｢尾形さんが山猫って呼ばれてるからその女ってことですか？｣
尾｢ああ、どうやらあいつらはお前が愛してるのは俺だと思ってるらしいな｣
フンッと鼻で笑い、次々と的を射抜く
まあ、そんなあだ名を付けられるのも無理は無いなと思う
尾形が帰ってきた音を察知して夜中に部屋へ行き、尾形に無言の蹴りで起こされて明け方に出ていくという生活をしているAを見ている人は大勢いるだろう
｢そんなあだ名つけるほど暇なんですねえ｣
床に座りながらベッドのフレームにもたれ掛かる
尾｢困らないのか？違うやつと噂されるのは｣
｢山猫のフンとか言われないだけマシですよ、それになんで違うって断定してるんです？あなたかもしれないじゃないですか｣
尾｢ねえよ｣
こちらを一切見ずに否定される。そこからはいつもの如く無言の時間が始まる
｢もう自分の部屋に行きますね、また寝ちゃうといけないので｣
そろそろベッドで寝たい頃だ。昼は一応筋トレ的なことをしているし、座って寝るというのも体力を使う
｢なんですか｣
立ち去ろうとすると尾形に手を掴まれる。Aが問うとそのままグイグイっと引っ張られまた地面に座り込んでしまった
｢そろそろベッドで寝たいんですよ｣
尾形を覗き込むようにして懇願する
尾｢ベッドならそこにもあるだろ｣
顎でAの後ろを指す
｢尾形さんが使えないじゃないですか、ただでさえあんまり寝てないんですからベッドで寝た方がいいですよ｣
というか私が寝てから眠りにつき、私が起きる前に目を覚ますというのはもはや一切寝ていないのでは？
尾｢さっさと入れよ｣
ベッドの上にAを引き上げて布団を剥がすとそう促す
｢いやだから、あなたはどうするんですか｣
尾｢俺も寝る。だからさっさと入れ｣
今度はAを膝でグイグイと押してくる
｢何言ってるんですか！噂を本当にするつもりですか！？｣
尾｢何期待してんだ？俺はただお前の希望を同時に叶えさせてやろうとしてるだけだ｣
言い方こそ慣れているように思えるが、得意の馬鹿にしたような笑みが張り付いてないのを見るに尾形もそこまで余裕という訳ではなさそうだ
｢もう...こっち向かないでくださいよ｣
この人はどこまで私を惑わせるんだろうか
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作者名：百 | 作成日時：2024年1月24日 0時
