【金カム】祝福された道 (ページ21)

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｢うぉっ｣

部屋に入り扉を閉めるといきなり腕を掴まれたAは、足を伸ばしてベッドに座る菊田の胸元に思い切り飛び込んでしまった

菊｢なんで怪我してる？｣

ぐいっと顔をあげたかと思えば頬の傷を血を拭うようにしてなぞられる

目線を上げると、人はこんなにも眉を顰めることができるのかと思うほどの表情をしている菊田がいた

｢ああ多分爪ですね、尾形さんの｣

血が出るほどくい込んでいたのか、気づかなかった

菊｢消したら傷つけた罪悪感が無くなる｣

事情を話しながら傷を治そうとするAの手を引き離す

菊｢ひとまず俺が手当する。でも明日は取っていくんだ｣

わかったな？と言いながらガーゼを押し当てテープで止める

｢罪悪感とか傷ごときで感じる人じゃないですよ？

というか軍人にそんなことで申し訳ないと思う人がいますか

あなたくらいですよ、そんなこと言うの｣

ふふふ、と笑い菊田の肩に顔を埋めるA。

菊田の行き場の無い手がやっとAの頭に触れたと思った束の間、Aは顔を上げる

｢そういえば、私が菊田さんと長い間会えるのは今日で最後かもしれません｣

菊｢なんでだ？｣

菊田は少し緩んでいた顔を再度顰める

｢尾形さんに銃を教えてもらうよう頼んだんですけど明日からもう始めてくれるみたいで。夜まで練習して尾形さんの隣の空き部屋で寝泊まりしようかなと｣

まあ本当は銃など教えてもらえないし、この部屋を出ようとしたのも尾形に一刻も早く信頼してもらうためだが

菊｢あの小僧の部屋は隔離されてんのか？空き部屋があるなんて｣

｢尾形さんが銃の練習をできるように大窓がついた部屋を特別に使わせてもらっているらしいですよ｣

菊｢わざわざそこで寝んでもこの部屋からそう遠くはないだろ｣

｢でも菊田さんだって明日から訓練が始まるでしょう？そしたらどちみち会えないんですからここに帰ってくる必要も無いです｣

菊田がAの方を一切見ずに

菊｢とりあえず今日は寝るけど、この部屋から出てくことを認めたわけじゃねえからな｣

と言うので

なんでこんなに怒ってるんだ？と思いながら、Aはすぐに深い眠りについた