【金カム】祝福された道 (ページ14)

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部屋に着くとAは菊田をベッドに座らせた

菊｢すまんな、手当までさせちまって｣

｢いや、いいんです｣

袖を捲り上げるAと菊田の間には静かな空気が流れていた

Aには少し決めかねていることがあった

それは自分がいた世界ですら非現実的であった自分の能力について菊田に話すかどうか、ということだ

Aは、いわば超能力のようなものを持っていた

限定的で全てが完璧にこなせるわけではないが

治癒、浮遊、防御、特定の場所への瞬間移動、

この4つができる存在というのはこの世界では大変危険なのではないかと危惧していた

それでもこの人には言っても大丈夫、いや言わなければ。

｢菊田さん、｣

菊田は顔を上げて応える

｢私、その傷治せるんです｣

菊｢は？｣

Aは菊田に自分ができること、元の世界でも自分以外はいなかったことなどを説明した

菊｢やってみてくれ｣

全て話し終えると菊田はすぐさま自分の腕を突き出した

｢はい｣

Aは菊田の腕に自分の手を近づける

すると銃で撃たれた傷がみるみると治っていく

菊｢これは...｣

菊田はしばらく呆然と自分の傷があった場所を見つめていた

菊｢とりあえずここに座ってくれ｣

どれくらいの時間が経っただろうか。菊田はやっと口を開き自分の隣をポンポンと叩いた

｢すみません、びっくりしましたよね｣

菊｢いや、良いんだ。びっくりというより安心と、あとは心配の方がデカい

意味わからんと思うかもしれんが

救うといいながらも銃もなにもできなさそうなお前がこの世界で生きていけそうなことに安心してる。

心配の方は、この力がバレてしまえばお前が狙われてしまうかもしれんということだ。｣

｢はい、それはわかります。だからその、あなたにしか言わないんです｣

菊｢そうか。それは、その、そうか｣

なんだかソワソワとしている菊田を見るのが新鮮でAはふふふ、と言いながら寝転んでそのまま腕をぐっと引っ張る

｢とりあえず今日は、寝ませんか？詳しいことは明日話しましょう｣

菊｢ああ、おやすみ｣

窓の外はすっかり暗くなって風の音がだんだん強くなっている気がした