turning.1 見間違い ページ1
──黒板に、自分の名前を記した。
チョークを置いたあと、それを確かめるように見る。
「では、自己紹介を」
その様子を見た先生にそう言われて、
私は次に皆の方を見た。
「この雷門中に転校してきました。……伊吹、A──です」
あえて、本名を名乗る。
1年生の同クラスの全員が驚き入っていた。
「ってことは、あのエリアの騎士じゃないか?」
「どうしてここに?」
「行方不明じゃなかったのか?」
あの帝国学園で、名前と姿を伏せていたのが
幸いしたな、と心の中だけで思う。
「……みんな、よろしくね!」
元気な少女を演ずるために、微笑みながら
元気そうに言うと、皆の顔が赤くなっていた。
……ように見えたが、それはきっと気のせいだろう。
〜･〜･〜
そしてその日は、何事もなく平穏に過ごす……筈だったのだけど。
──放課後、私はグラウンドなどの
雷門中の外を見回りながら呟いていた。
「へー、グラウンドはサッカー部じゃなくて
別の部が使ってるんだ……あれ、あの子は……」
同じクラスに居た子だ。
教室では居眠りしていたけれど……
サッカーボールを持っている。
あんな狭い場所で……満足にプレーも出来ないだろうに。
グローブをはめているから、ポジションはGKか?
「あ……っ!」
そんな子がミスをして弾いたサッカーボールは、
偶然にも私の元に転がってくる。
手に取ると、サッカーボールを持っていた男の子が走ってきた。
「ごめん、ごめん!」
「ううん、偶然ここに居ただけだから」
言いながらボールを返した。
笑顔の良く似合う人だ。ついでにバンダナも良く似合ってる。
私はそんな彼に向けて再び口を開こうとした。
──だが、視界の端に妙に気になるものが映ったのに
思わずそちらの方を見やる。
「…………」
だが目線の方向を変えた時には、そこには何もなかった。
“誰か”が居たように見えたのだが……見間違いか?
「でも、どうしてここに? あ、もしかして入部希望者か!?」
嬉しそうに言う彼に我に返り、
私は苦笑しながら首を横に振った。
「……私、転校してきたんだ。だから、学校見学」
「なんだ、そうだったのかー」
がっかりしたように肩を竦められる。
「“なーんだ”って、キミ、私と同じクラスだったよ」
「えっ!? 知らなかった!」
「……寝ていたもんね」
言いながら苦笑いをしてやって。
そして改めてサッカーボールを見た。
彼、なんだかさっきから楽しそうな顔してるし……
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フェイル(プロフ) - ロンさん» はい、王牙本編は以上で終了です。後は番外編で無印補完という事になりますね! お知らせは、出来れば明日に書ければいいなとは思っています…… (2015年5月18日 20時) (
レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ロン - とうとう、終わった・・・のか？ (2015年5月18日 20時) (レス) id: 59aa0972bb (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ロンさん» あ、ごめんなさい! 実は劇場版の本編は45話までで終わりという事になっています。後に二話程のおまけをつけますが、それはオリジナルです。また、番外編の方でも王牙関連のお話を数話載せるつもりですから、全45話+αです。 (2015年5月14日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ロン - あと8話！ファイトですよ！とうとう、試合終わってしまいましたね・・。あとは、何かあったっけ？オリジナルですか！？ちがったらごめんなさい！ (2015年5月13日 18時) (レス) id: 59aa0972bb (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ロンさん» いいえ、とんでもありません……! その証拠に、この小説の容量が50話分だと考えて残り数話しかない状況を見れば、まず王牙と雷門イレブン達とのやりとりが少なくなっているだろうなと予測がつくと思います……。そう言っていただけてとても嬉しいです^^ (2015年5月10日 9時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2015年4月6日 0時
