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「愛し……え？」
突然の告白に固まる私を見ながら、茶髪の人外サンは嬉しそうに言葉を続ける。
「まさかお前の方から俺の方に来てくれるとは思ってなかったわぁ。これってお前もオレの事好きってこと？」
「え！？…はい！そうです！！貴方のこと好きですなんなら愛してます！！」
先程まで「痛くない死に方が良い」と死ぬことを受け入れていたが、どうやら私は死亡ルートだけでなくちゃんと生存ルートも用意されてたらしい。聡明な私は瞬時にそれを理解する。
「！やっぱり俺ら相思相愛ってこと？嬉しいわ」
微笑む人外サンを見て内心でガッツポーズをする。とりあえず生きることができそうな目星がついた。
とりま彼の話に合わせるために、しばらく「愛してる」という嘘を吐くことにしよう。
心底嬉しそうな彼には悪いと思ってるし、少々この手の嘘は私の慈愛に満ちた心が痛むが、こちとら命が懸かっているので、【嘘も方便】ということで勘弁してほしい。すまんな。
「そう！相思相愛です！アイラブユートゥーってやつです！君と出会えるなんて私ってば超絶ハッピー！今からココを抜け出して愛の逃避行と洒落込みたいくらいには君のことを想ってる一途な超絶美少女が私、A・M・マーチェリーです！どうぞよしなに！」
「あいらぶ…？よう分からん単語が出てたけど、つまりAは俺のこと好きで愛してるってことでええんよな？」
「はい！！」
この人外サンには片仮名語(ちなみに片仮名語というのは私の故郷で使われてた3種の言語の内の一つで、外国から来た言葉だ)がどうやら通用しないらしい。先程の台詞の中で出たのはアイラブユートゥーとハッピーの二つ。多分意味はなんとなく伝わってるだろうから補足はしないでおこう。めんどいし。
内心冷や汗を流しながら、お得意の作り笑顔でニコニコニコニコと愛想良く人外サンを見る。それをしばらく見つめた人外サンは口を開く。
「んじゃあ、招くな。俺たちの城に」
「おっと？」
「俺のこと好きなんやろ？……じゃあちょっと眠っててな」
「な、」
んで、という疑問の声を出す前に、目の前に人外サンが私の首に噛み付いた。
「いっ…！？」
ジクジクとした痛みがきたのと同時に、だんだんと眠気が襲ってくる。恐らく状態異常の魔法をかけられてしまった。
「ーーー愛してるで、A。一生俺らと仲良く暮らそな」
薄れる視界の中、人外サンが最後にそういった気がして、
そこで意識が落ちーーーーー、
続く
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作者名：紫豚 | 作成日時：2022年8月6日 13時
