聖騎士と魔王軍 (ページ1)

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▽1階ページ1

ーーーいやもうほんと、クソだわ、コレ。クソゲーだ。

他力本願のクソみたいな連中に無理矢理勇者をやらされ、私は長い冒険の末ついに数十分前に魔王の城へ乗り込んだ。だが、経験値不足と力不足、あとは仲間不足で魔王の下まで辿りつけず、1階の中敵に見事敗れてしまった。

「(私、死ぬんだろな………)」

1階の中敵は現在、馬乗り状態で私を見下している。
敵の容姿は魔物ではなく、一見ただの茶髪の男の人間に見える。だが、こんな魔王城に普通の人間がいるものだろうか。いやいないよ常考。つまり此奴は人外で、人外ってのは半端な奴だから基本弱い。そう甘く見ていた私は「とりま適当に魔法ぶっ放しとくか」と思って得意の氷魔法で倒そうとしたら、普通にカウンターされた。南無三。

「ぇえっと……」

命乞いが無駄だというのは賢い私なら分かる。これがエロ同人誌だったら私はなんとか命拾いしてたかもしれないが、生憎この世界はエロ同人誌ではない。故に、私が此処から助かる可能性はゼロに等しい。

ーーどうせ助からないなら、どうせ死ぬ運命ならば、せめて痛みの無い死を迎えたい。

「貴方様のお手間を少しでも省くためにも、私のことは一思いに殺した方が良いんじゃないかなぁ〜なんてことを思ってるんですけどどうですかね？」

「は？」

「すみません怒らないで！！」

驚く程冷徹な「は」の音を聞いて私は思わずビビってしまい、とりあえず謝っておく。普段人の顔色を伺って生きてきた私には分かる。あの「は」の音には間違いなく憤怒の感情と苛立ちが募っていた。怖い。