Beyond disappointment. -落胆の向こう側 1- ページ3
私は朝からスタッフステーションで、パソコンの画面と睨めっこしていた。
柱を背もたれに立った耕作が、気づかわしげな視線を向けてくる。
「…大丈夫か」
「お互いさまね」
耕作の言葉に、そっとスクラブの上からペンダントごとリングを握り締めた。
そんなに酷い顔をしていただろうか。
────よく顔に出るって言われるけど、あながち間違ってないのかも。
いかんいかん、笑顔っと。
むにむにと自分の頬を触っていたら、彼に小さく笑われた、失礼な。
「いたいた、Aいるところに藍沢ありってね」
「おはよう美帆ちゃん、恵ちゃん、雪村ちゃん」
もうあえて美帆ちゃんの言葉はスルーする。
ふっふっふ、私は帰国してからスルースキルというものを身につけました、偉い!
「おはよ。
…なんか変な顔」
「おはようございます」
……恵ちゃんまで朝からひどくない…?
今日厄日?…いや帰国してからほぼ厄日だ。
はは、と苦笑しながら雪村ちゃんを目で追う。
「雪村ちゃん、いい感じだねぇ」
「ありがとうございます、香坂先生。
周りの雰囲気を良くするのも、ナースの仕事だって、冴島さんが。
…あっ、もちろん香坂先生の影響もとてもあります!」
「ふふ、照れるからそれくらいにして、ね?」
────最近雰囲気が少し柔らかくなった。
これもはるちゃんの指導のおかげだよね。
「さっすがはるちゃん」
「うっそ〜あいつこそいつも仏頂面じゃん、ニコニコしてるのって感じだわ」
そんなことを言いながら、美帆ちゃんが私の正面、恵ちゃんが左隣に腰掛ける。
「冴島さんがニコニコしてたら逆に怖いよ」
「確かに。
考えただけでゾクッとするわ」
「…あ、はは」
だめだ、こんなときこそ京先生のズバッと言えるツッコミ力欲しいよ…!
「────お前らなかなか勇気あるな」
「え?」
言ってやれ、と耕作が目で訴えてくる。
私は苦笑しながら、身体をずらして声をかけた。
「はるちゃん…good morning.」
ぶら下がっていた生食が勢いよくふたつに割れて、ちょっと怖い顔のはるちゃんが登場した。
「────おはようございます」
あー、怒らせちゃった…。
傍観に徹する私に、なんでもっと早く言わないのよバカ!という美帆ちゃんの視線が正面から突き刺さる。
痛いでやんす。
「…そうだよ、冴島さん今日から復帰だよ」
先ほど、少し遠慮がちにおかえりと言ったら、笑顔でただいまと返してくれたのは記憶に新しい。
3934人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yui - いつも楽しく読ませていただいております!単語についてなのですが、6話の5ページ、「コークリフト」とあ(ますが「フォークリフト」かと思われます。倉庫内で重いものや大きいものを移動させる乗り物です。 (2017年10月13日 16時) (レス) id: 30abdae40f (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 18の守口さんの名前が森口さんになってましたので報告させていただきました (2017年10月7日 13時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
kii - 仕事の話し(患者さんとか)でもいいし、プライベートでもいいし、シリアスな感じでもいいし…とにかく香坂先生と白石先生が会話をしているところをもっと見たいです(笑)突然のお願いですみません!これからも頑張ってください!応援しています! (2017年8月28日 23時) (レス) id: 827d9f9495 (このIDを非表示/違反報告)
kii - 6話完結おめでとうございます!いつも楽しい作品を作ってくださりありがとうございます!またまたリクエストなのですが、最近藍沢先生との絡みが多いので(不満とかそういう意味じゃないです!)白石先生との2人のシーンが欲しいです!できれば藍沢先生の恋愛話は無しで… (2017年8月28日 23時) (レス) id: 827d9f9495 (このIDを非表示/違反報告)
nee - こんばんは!いつも作品見させてもらってます!リクエスト?意見?なのかわかりませんが名取先生には香坂先生から緋山先生に恋心移ってほしくないっていうか……無理なこと言ってすみません!これからも頑張ってください! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 363a4b4fa6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayanel | 作成日時:2017年8月22日 0時