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「随分ご機嫌なサンタクロースだったな」
「………クッキーいる?」
「…さっさと着替えてこい」
「そ、そんな怖い顔しないでよ、ごめんって」
ぎぎぎ、とネジ巻きのおもちゃのようにぎこちない動きで医局を出ていく私の背後で、ため息がひとつ。
怒らせただろうか、と少し不安を残しつつ、私は一旦医局をあとにした。
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(藍沢)
「…ったく、素直に言ってあげればいいのにさぁ」
ドアが閉まったことを確認して、緋山が盛大に吹き出す。
「部屋出る前の結稀奈、親に叱られた子どもみたいな顔してたよ?」
さらに追い打ちをかけるように白石が俺を小突いてくるので、先ほどの自分の行動にも腹が立って、またため息が出る。
どうしてこうも素直になれないものか。
クリスマスパワーなんてものは、ひょっとしたら存在しないのでは、とすら思えてくる。
「まぁまぁ藍沢」
俺に寄ってきた藤川が、声のボリュームを落として口を開く。
「プレゼントは用意してんだろ?
ちゃんと仲直り…というかいつも通りに戻れよ?」
「…言われなくてもそうする」
そのとき、部屋の中に鳴り響いたホットラインの音に、一同が緊張感を帯びる。
「翔北救命センターです。
はい…分かりました、すぐに向かいます」
白石が通話を切って、一度軽く息を吐いた。
「40代男性、バイクで運転中に高速道路でスリップして、対向車の乗用車と衝突した。
腹部強打で意識レベルが低い。
乗用車に乗ってた30代女性は頭部外傷。
出血量が多くていつ心停止してもおかしくない状態。
藍沢先生と横峯先生、行ける?」
「はい!」
やる気満々の横峯の返事のあとに軽く頷き、俺も医局を出た。
ちょうど、仮眠室から着替えを終えて出てきた結稀奈と────もう顔つきはすっかり香坂といった方がいいだろうか、走りざまにすれ違う。
「出動?」
「詳しいことは後で説明する、香坂先生も来て!」
「了解」
午後1発目やりますかー、と意気込んで肩関節を鳴らすあいつの声を聞きながら、胸元に当たる冷たさを感じながら、ヘリポートへと急いだ。
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Mitsuki - いです!お忙しいことと思いますが、更新頑張ってください(^ ^) (2018年1月4日 18時) (レス) id: aed2f04add (このIDを非表示/違反報告)
Mitsuki - 明けましておめでとうございます!もうすっかり香坂先生ファンです笑リクエストで、 香坂先生の新年の目標が聞きた (2018年1月4日 18時) (レス) id: aed2f04add (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 名前変えさせていただきました。以前 仰られていたホンマでっかのやつ見てみたいです~(●^o^●)時系列とか、まぁ 気にしません! (2017年12月29日 22時) (レス) id: 6208755813 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新ありがとうございますっ!!神ですね…((T_T)) (2017年12月26日 9時) (レス) id: 6208755813 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - 私のところにも香坂先生サンタが来て欲しいです・・・! 素敵なクリスマスプレゼントをありがとうございました! ayanelさんのペースで、これからも更新頑張って下さい! (2017年12月26日 8時) (レス) id: d6d184a47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年8月18日 3時