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(香坂)
────がんばれ、私。
滅多と来ていなかった高級そうなレストラン、胃袋もいい感じに満たされて幸せになったところで。
あぁ、なのに。
────ねむい…。
猛烈に襲いかかってくる睡魔と激闘すべく、先程から落ちそうな瞼を懸命に持ち上げている。
すでに立ち上がってコートを着かけていた耕作が、その手を止めて私を見た。
「………昨日も遅くまで起きていたのか」
「ん、まぁ…プレゼントの用意してて…、結局ソファで寝落ちした」
私も耕作も、エンストしそうな勢いで仕事をこなした結果、無事に8時までに切り上げることができて、いまこうして食事をし終えたところだ。
口数はどちらかというと少なかったが。
「…泊まっていくか」
「うん……私のホテルまでだと距離あるしねぇ…。
助かる…ありがと」
浮かべた笑みはきっとふにゃりとした頼りないものかもしれないが、いまの私にとっては起きていることの方が重要だ。
なんとかコートを着て、もう記憶が曖昧な中で耕作の部屋へとなだれ込むように到着したあと、片手に持っていた紙袋から、ほどよい大きさの包みを取り出して彼に手渡す。
「────May the miracle of Christmas fill your heart with warmth and love.」
ちゃんと発音できていただろうか。
私が覚えているのは、包みからそれを取り出した耕作の驚いた顔と、ふわりと包まれたぬくもりと。
耳元に落ちた、確かな囁き。
「────最高のサンタだな、お前は」
「サンタは案外寂しがりやなの、覚えておいてね」
これからもきっとすれ違うけれど、それでも。
彼から贈られた、やわらかなオードトワレの香りに包まれて。
彼女は手書きの“2018年クリスマス予約券”で、この先の未来を願う。
離れていてもどこかできっと繋がっている────そんなふたりの、ほんのり甘いクリスマス。
淡雪は、今夜も止みそうにない。
2017.1225
愛しのメリー【special story】 -Fin-
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Mitsuki - いです!お忙しいことと思いますが、更新頑張ってください(^ ^) (2018年1月4日 18時) (レス) id: aed2f04add (このIDを非表示/違反報告)
Mitsuki - 明けましておめでとうございます!もうすっかり香坂先生ファンです笑リクエストで、 香坂先生の新年の目標が聞きた (2018年1月4日 18時) (レス) id: aed2f04add (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 名前変えさせていただきました。以前 仰られていたホンマでっかのやつ見てみたいです~(●^o^●)時系列とか、まぁ 気にしません! (2017年12月29日 22時) (レス) id: 6208755813 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新ありがとうございますっ!!神ですね…((T_T)) (2017年12月26日 9時) (レス) id: 6208755813 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - 私のところにも香坂先生サンタが来て欲しいです・・・! 素敵なクリスマスプレゼントをありがとうございました! ayanelさんのペースで、これからも更新頑張って下さい! (2017年12月26日 8時) (レス) id: d6d184a47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年8月18日 3時