コード・ブルー -Blue steelyard 4-

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「あれっ、電話よ！」

「心配性なんだから…」



そんなことを言いながら、スマホを耳に当てる冴島さんの表情はとても穏やかだ。



「ウワサの旦那様じゃないの？」

「アタリだね」



こらそこ2人、目に見えてにやにやしないの。



私はそっと椅子から下りて、Aの肩に手を置いてそばに寄る。



「優しいとこがいいってよ」

「良かったねぇパパ」

「新婚さんおめでと〜」



そう言って3人でくすくす笑う。



あー楽しいなぁ。



『はるか、あのね、帰り遅くならないようにね。

駅からタクシー使いなよ』



そんな藤川先生の声が聞こえてきて、にやにやが止まらない。



冴島さんの肩に寄りかかるようにしてそれを聞いていた緋山先生とAが、嬉しそうに声をあげた。



「やっさっしぃ〜！」

「これホントに藤川先生ー？」

『おい香坂、これ言うな！』

「はいはい分かったから。

行けなかったからってAにあたるのやめなさい」



隣ではAが勝ち誇ったような顔をして、頼んだアイリッシュ･コーヒーを飲んでいた。



それから時間も経って、冴島さんは帰ることになった。



いまは彼女の分の空いた席に私がずれて、ひとつ空けた席で緋山先生がワインを飲んでいる。



ちなみにあの子はというと。



そろり、と奥のソファを振り返る。



藍沢先生の向かい側のソファに、丸まるような形で横になって、すぅすぅと寝息を立てていた。



Aはある程度までお酒が入ると、こうして眠ってしまう。



帰る頃には起きてくれるから問題ないけど、この寝顔がまた可愛らしいんだよねぇ…。



周産期医療センターのことを恒夫に説明してやりながら、緋山先生は現状の悲しさをつらつらと語っている。



「白石」

「ん？」


「あんたがしっかりフェロー育てないから、こんなことなるんだからね」

「こっちだって苦労してんの、見てこのレポート」



と、ぺらりと書いていたレポートを緋山先生に見せる。



「フェロー3人の特性と指導方針を書けって。

そんなの1月見たぐらいじゃ分かんないよ…

特に名取先生、この人ほんと分かんない」



Aは人を見るのが得意だから、こういうのスラスラ書けるんだろうけど、生憎いま夢の中だしなぁ。



最近ぶっ通しで頑張ってくれてたから、寝れる時は寝かしてあげたい。



「藍沢。

…また1人すました顔して」



あ、緋山先生の怒りの矛先が藍沢先生になった。

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