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オペ室に入ってしばらく、私が腕の血管を左脳に繋げるため、メスをとったときだった。
ドアが開いて、手術服に身を包んだ男性が入ってくる。
「どうなってる？」
「新海先生────」
「遅いですよ、脳外科エースさま」
「お前かよ香坂…」
がっくしとうなだれる藤川先生に、私がにっと笑って親指を立てている隣で、藍沢先生が新海先生に状況を説明していた。
「…左頚動脈遮断したいが、交通動脈が未発達だ」
「なーるほどね…そりゃオールマイティな香坂先生が俺を呼ぶわけだ」
「…別に私でもできますし」
ぷい、と拗ねた私の肩を肘で軽く小突いて、新海先生が患者に向き合う。
「────じゃ、やりますか」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(白石)
両親に健太郎くんの現状をタブレット端末の図でわかりやすく説明しながら、私は思う。
大丈夫、あの3人なら、きっと。
「……ですが、健太郎くんは生まれつき、この左右の脳を繋ぐ血管、交通動脈が────ほとんどないんです」
「…え？」
「このこと自体は、人によってあることなので、問題はありません」
不安なのは、医者も親も変わらないだろう。
「でも、それじゃあ…」
「脳はとっても繊細です。
血液が足りなくなれば、数分で脳にダメージが生じてしまいます」
「どうにか…ならないんですか？」
方法はまだある。
これをすぐさま思いついたAは、きっと彼を救うことしか頭になかったんだろうな。
「左脳に血液を送る血管を、一時的に作ります」
「作る…？」
「腕の血管を左脳に繋ぎ、血液を送ります」
そうすれば、左脳へ血液は送ることができて、脳へのダメージは免れる。
「そんなことして…大丈夫なんですか？」
心配そうに揺れる両親の瞳を見つめながら、私は安心させるように言い切った。
「簡単な手術ではありませんが…この病院で最も腕のいい外科医が、3人で行います」
言っておきながら自分でも思うけど…。
この3人が同時にオペするって、いま思えばとっても貴重だよね…。
脳のスペシャリストが2人────藍沢先生と新海先生。
オールマイティ実力派外科医────香坂先生。
繊細なものが相手なら、彼女の手先の器用さが光る。
大丈夫、この3人なら。
きっと、助けられる────。
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Koto(プロフ) - リクエストなんですが、shortstoryで三井先生が香坂先生を溺愛するお話が見てみたいです！ (2017年9月23日 11時) (
レス) id: e1c8bdc482 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 藍沢とくっつけてほしいです！ (2017年9月1日 5時) (レス) id: 4dd38bd3ac (このIDを非表示/違反報告)
ayanel(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます。リクエスト了解しました、短編で書かせていただきますね(*^_^*) (2017年8月24日 13時) (レス) id: 61d33ebdb1 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - ずっと楽しく読ませてもらってます！伏線の張り方とか心情描写まで丁寧で引き込まれます。しかもネタもつきないしすごいですね！！リクエストなんですが、京先生が大阪の病院でモテて、白石先生がそれにちょっと嫉妬する？みたいなものが見たいです！ (2017年8月23日 23時) (レス) id: c0afa0c28c (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - 前作時にはコメ返ありがとうございました！4話読みました。歩那ちゃんの存在が気になります。香坂先生にとって良い刺激といいますか、そうなってくれるのが楽しみです！又短編立浪草のお話も読みました。一週間でも幸せだったのだろうと思うと凄く切なくて泣けました。 (2017年8月15日 1時) (レス) id: 68a6b7d888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月8日 10時
