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(藍沢)
昼間の感覚にまだ身体が震えているように感じる。
と、ちょうど曲がり角を曲がったとき、視界に小さな人影を捉えた。
だが急なことに避けることができず、ぶつかってしまう。
鼻腔をくすぐった、かすかな石鹸の香り。
子どもだろうか、そう思って下げた視線の先には、驚いた様子で目を丸くした────
「香坂？」
「あ…ごめん、考え事してた」
自分と同じ青のスクラブに身を包んだ、ひそかなライバルが、髪の毛を下ろしてそこにいた。
ぱっと身体を離して横を通り過ぎていく彼女に、いましかないと後を追いかける。
「どうして、フライトドクターになろうと思った？」
隣に並んでそう尋ねれば、香坂は少し考えあぐねて、腕を組みながら口を開いた。
「……────内緒」
すい、とのびた手が、エレベーターのボタンをひとつ叩く。
「…みんな、ヘリは怖いって言うけど」
気がつけばその横顔を、吸い寄せられるように見つめていた。
「……初フライト。
私もね、確かに怖かった…処置をするまでは。
でも処置を開始してからは────面白いと思えた。
…こんなこと、黒田先生にしか言ったことなくて」
こんなに喋る香坂を見たのは、これが初めてだった。
どんなときよりもはきはきと、あの高揚感をもう一度と、求めるように話した彼女は、はたと気づいたように焦って口を閉ざした。
薄茶の瞳が、どこか怯えたように俺を見上げてくる。
「………ごめん、つい」
さらり。
前を向いた反動で、髪が細い肩の上を踊った。
「…いや。
俺も、まったく同じことを思ってた」
鮮明になる意識と、目の前のことだけに集中して、周りのことが遠のいていく感覚────。
香坂が、ぱっとまたこちらを見る。
ひと呼吸おいて彼女は形のよい唇を、笑みのそれに彩った。
「…似たもの同士、負けないんだから」
「それはこっちのセリフだな」
ふ、と鼻を鳴らして、ほんの少しだけ挑発的な笑みを浮かべてくる。
普段が謙遜的であるからか、不意に見せたその仕草に、鼓動が高鳴ったのを感じた。
それは、期待とライバル心からなのか────。
.
────────それ以外の、感情か。
続く (更新停止中)
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ほち(プロフ) - 続きとても気になります……！更新待ってます…！ (2月14日 9時) (
レス) id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月18日 10時) (レス) id: 572aeb701d (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2019年8月24日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
音夢(プロフ) - 続きが…気になります！！ (2019年6月21日 2時) (レス) id: 11609052e1 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - シリーズとても面白くて、1日で読み終えてしまいました！この小説でのコードブルーがとても好きになりました！ちなみに、劇場版は書かれたりするんでしょうか？お忙しいと思いますが、作成されたら飛んで読みに来ます！頑張ってください！ (2018年8月1日 18時) (レス) id: 132fe7823f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2018年4月4日 15時
