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横峯先生とともに駆け出していくその後ろ姿を見送り、もう1度ホワイトボードを見る。
払っても払っても湧き上がる不安に懸命に蓋をしようと、ふたりの無事を祈るように瞼を閉じたとき、隣に誰かが立つ気配がした。
「………ほんま、アホな奴やで」
「え……？」
驚いて顔を上げた先には、黒いシャツの袖を肘のあたりまでまくった、高身長の男性。
わずかに汚れ擦り傷のある顔は、見紛うことなく────。
「京先生…!?
なんで、ここに…！」
驚く私に、彼は何事もなかったかのように説明してみせた。
「甥っ子が電車好きでな。
兄貴は店番あるからどうしても抜けられへんって、ちょうど休みやった俺が、香坂の様子見に行くついでに来たんや。
まさかこんな事故に巻き込まれるやなんて、思ってもなかったけどなぁ」
「甥っ子さんは無事なの？」
「おー、ぴんぴんして緑タグのとこにおるよ」
なら良かった、と息をつく私に、彼はホワイトボードに書かれた香坂の名前の文字を、鋭い目線で見据えた。
「…ったく、せっかく助かった命やってのに。
少しは俺らの気持ちも考えろや…」
「でも、本当に記憶がなくなっても…AはAなんだって…現場に来たとき思わされた」
あの必死な目の輝きは、いつになっても変わらない。
「……白石、お前に…いや、スタッフ全員にやな。
ひとつだけ言うとかなあかんことがある」
「……なに…？」
その先を聞くのが、こんなに怖いなんて。
「もし仮にあいつが瓦礫に埋まってるとして…その瓦礫を退かした際にクラッシュシンドロームになってもうたら……、
────助かる確率は五分五分や」
私の心臓が、音を立てて跳ね上がったのが分かった。
五分五分────それは、本当に生きるか死ぬか、ぎりぎりのところ。
────いやだ。
このまま、さよならなんて、嫌だ。
「…俺も行ってくる。
お前はここを頼むで」
そう行って身を翻した京先生の背中に、私は思わず叫んでいた。
「お願い…Aを助けて、死なせないで…！」
「────当たり前やろ。
2度も死にかけさせてたまるか」
まだ、話したいことが沢山ある。
だからお願い。
生きて、いて────────。
京先生を見送ってから、私は橘先生に連絡を入れようと端末に指を滑らせた。
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ふみ(プロフ) - 一言、凄く感動しました。作品に忠実でありながらオリジナルを綺麗に上手く組み込んでて違和感なく読む事ができました。お忙しいとは思いますがファースト・セカンドシーズン、スペシャルや映画の方の作品も期待してます、こっそり、堂々と！無理せず更新お待ってます！ (2018年8月15日 0時) (
レス) id: fa7ef13cd4 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - あとうひとつ、ではなくてあともうひとつ、ではないですか？間違ってたらごめんなさい。28です (2018年8月7日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
葉月 - はじめまして！全部読ませてもらいました。少しわからないところもありました…最後死んでしまったのは悲しかったですが感動でした！ (2018年7月29日 13時) (レス) id: 598db5caaa (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - こんばんは。お疲れ様でした。ひと作品ひと作品大好きです。途中から来れなくなり、昨日残りを一気に読みした。涙なしでは読めませんでした。ayanelさんの作品が本当に大好きです！終わってしまいましたが今後のseason1や番外編も楽しみです！更新頑張ってください。 (2017年11月21日 1時) (レス) id: 68a6b7d888 (このIDを非表示/違反報告)
Appppppppple - 最初から最後まで読み始めたら止まらなくて、すごく好きです！主人公の波乱展開や次々と起こっていく奇跡に思わず涙をこぼしながら読ませていただきました。耕作との恋愛もじれったいけど思いあってるのが伝わってきてとても素敵でした！これからも頑張って下さい！ (2017年10月23日 18時) (レス) id: d7af8c4e34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年9月20日 0時
