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────似て、いないような。
その場で立ち尽くしている私をよそに、そのまま名取先生は何事もなかったかのように席について、パソコンのキーボードを叩き始める。
「────何の用？」
「久々に会って何の用はないだろう」
「…父さんが突然来るときは、大抵ろくなことないから」
親子の会話を聞くのはあまりよろしくないと思い、書類整理は諦めてICUに戻ろうとしたときだった。
私の耳に、思いもよらない言葉が飛び込んできたのは。
「────お前、うちの病院に戻れ」
「…ほらやっぱり」
名取先生はその言葉に鼻で笑った。
「別に悪い話じゃないだろう。
大学病院は臨床学ぶのには最適だが、病院経営までは教えてもらえない。
お前、現場ではそれなりに優秀なんだろう？
だったら俺の手元において、うちの病院のことを教えた方がいい」
彼の言うことはもっともだと思えた。
けれど私は、いまの名取先生のことをよく知らない。
だからどんなに思うことがあっても、何も言うことができない。
そんな自分が、少し腹立たしかったりする。
「相変わらず、人をその気にさせるのがうまいね」
名取先生がそう言いながら立ち上がってこちらに歩いてきたので、私は思わず逃げるようにして医局から立ち去った。
足が、動いてしまった。
ふと、思ったことがある。
────私の親は、どんな人だったのだろうかと。
とても大切なことを、ぽっかりとどこかに置いてきてしまったような、そんな感じが、していた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(名取)
あまりよろしくない会話を聞かせてしまったと思いながら、俺はただ父の話を聞いていた。
これ以上名取颯馬の名を、悪い形で世に知らせたくないがための、父の行動だったのだ。
そして、次に父が放った衝撃の言葉に、俺はその場に立ちすくんだ。
「────あの人も欲しいところだがな」
あの人というのは、言わずもがな彼女のことだ。
いつしか緋山先生が言っていた言葉を思い出す。
“全国の病院がAの腕を欲しがっていたからね”
いままさにこの瞬間、香坂Aという存在が、医療界にどれほどの影響を与えているのか────痛感した瞬間だった。
────結局、どんな状態であれ、使えればいいってことかよ…。
その腕と知識、そして親より受け継いだ────才能さえ、残っていれば。
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リラン(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます！読むたびに次をもとめてしまう！今後も期待してます！話は変わりますが、少年陰陽師読んだことありますか？何となく文が似ている所があってずっと気になっていたんです。急に質問すみません。もし知らないのであれば申し訳ないのですが… (2019年2月12日 12時) (
レス) id: c050d878db (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 18、大大抵ではなく、大抵では？ (2018年7月4日 20時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
鈴子 - コードブルー好きにはたまらないね\^-^/ (2017年10月14日 21時) (レス) id: bbbfeb8862 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！更新される度に続きが気になって気になって！最終回、楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2017年9月19日 23時) (レス) id: e98d2ab7a8 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢せんせすき - 面白すぎます笑楽しみにしてるので更新頑張ってください^ ^ (2017年9月19日 22時) (レス) id: 0944e50e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年9月12日 0時
