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「な、Aさん!?」
私の疑問に答えたのは、濡れた髪にタオルを被ったA本人だった。
服装もラフなものへと変わっている。
蒸気した頬とくりくりとした丸い瞳。
あれ?Aって私たちと同い年だよね?
30手前だよね?
「あんた昼間っから何シャワー浴びてんの…」
「えっ、三井先生に許可もらったよ?
むしろ勧められたよ?」
「いやね、そういう意味じゃなくて…はぁもう」
がっくしと机に突っ伏した緋山先生に、頭上に「??」を浮かべる医療界の若きエース。
だめだ、全然見えない。
────この鈍感天然め。
と、それまで黙って自分の机にもたれていた人が、すいとAの頭にかかったタオルに手を伸ばし、そのままがしがしと拭き始めた。
「わぁっ!?…あー…、耕作か、びっくりした」
Aは私たちより大分小柄だから、長身な藍沢先生が背後に立つと、妹感が増す。
されるがままになっていたAは、ついと首をめぐらせた。
意志の強い輝きを宿す薄茶の瞳が、フェローたちを捉える。
「貴方たちがフライトドクター志望のフェローだよね?
こんな形で申し訳ないんだけど、初めまして、元救命医の香坂Aです。
また会うことがあったら、そのときはよろしくね」
にこっと微笑むと、ぎこちなくお辞儀を返すフェローたち。
彼女がどれだけ凄い存在かを痛感したらしい。
そのまま髪を上げようとするAに、藍沢先生が顔をしかめた。
「ちゃんと乾かせ」
「え、もう乾いてるって。
向こうじゃそのまんま救命走り回ってたし。ありがと」
すんなりと「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えるのは、Aのいいところだと思う。
一度決めたら譲らない頑固さはあるけれど、本当に頼もしい。
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恵李 - こんにちは。恵李です。1年前からほとんど毎日見てます!続編よろしくお願いします!あの〜質問questionなんですけど、何歳ですか?私は華のJK16歳ですけど教えてください!! (2022年10月19日 22時) (レス) @page10 id: 18a46fedc8 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ayanelさん» こんにちは… (2021年9月10日 11時) (レス) id: 9a04ef101c (このIDを非表示/違反報告)
レー - 質問というか聞いていいですか? (2021年3月8日 22時) (レス) id: 88b0f39677 (このIDを非表示/違反報告)
フラ - 作品を参考にしてよろしいですか?? (2020年9月11日 22時) (レス) id: ead1db5ef4 (このIDを非表示/違反報告)
あゆか(プロフ) - とても作品内容は面白く読ませて頂きました。一言申し上げるとセリフの前に名前を書いていただけると誰のセリフだか分かりやすくてもっと良い作品になると思います。素敵な小説ありがとうございました。 (2019年12月31日 0時) (レス) id: 8f8d498a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月25日 21時