コード・ブルー -Blue steelyard-

Far away Wishes．1 -遥かなる願い- ページ18

七夕の短冊



子供の頃は素直に願いを書いた



けれど



大人になると書かなくなる



何故だろう────？



どんなに願ったところで叶わないことがあると



知ってしまったからだろうか。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(白石)

三井先生が、今週でやめる────。



その言葉だけが、私にひどく乗しかかる。



「灰谷くん、レボア用意してくれる？」

「はい！」



……返事はいいけど右往左往。



藤川先生も名取くんや横峯さんに指示出してるけど、んー。



「お前が一番よく分かってんだろ、今のこのヤバイ状況」

「……分かってる」



Aが戻ってきてくれたから、少しは楽になると思ったら脳外科だし、三井先生は辞められてしまうしで、もう頭がパンクしそうだ。



「緋山が戻るって聞いて、ちょっとは楽できると思ったのに。

頼みの綱だった香坂は脳外科に飛ばされるし？

てかさ、橘先生は俺たちに死ねって言ってんの!?」

「何か事情があるのよ」



Aだって、脳外科に入りたくて入ったんじゃないし。



「お前は橘に何も言えねぇからな。

しょうがない、俺がビシッと言ってやるよ」



ちょっと、何で呼び捨てにしてるのよ。



「おはよう」



橘先生、良いタイミングで登場なさった。



「…あっ、おはようございます〜」

「あ。

藤川、ヘリ戻った？」

「あぁ、今」



言わないんかい！



「藤川先生がお話があるそうです」

「あ〜！バカバカ…！」



その時、ホットラインがけたたましく鳴り響く。



────来た。



「翔北救命センターです」

『マンション火災で熱傷の患者です。

受け入れ可能ですか？』



ちらり、藤川先生の方へ視線を走らせる。



「高所転落の患者が来ますよ、この上救急車は厳しいんじゃないですか？」

「熱傷面積は？」

『3度25%、サチュレーションは酸素10ℓ吸わせて70%です』

「どうする」



橘先生の声に、頷きながら私は答えた。



「受け入れましょう。

運んでください」



Aは今頃、脳外科で藍沢先生とオペかな…。



┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁

白石先生から灰谷くんへのセリフがどうしても聞き取れなくて、レボアと表記してありますが、恐らく存在しないものです…。


なんと言っているのか分かる方は、コメントで教えて下さるととても助かります。

8/3：上記の箇所を修正しました。

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