Between dreams.-ゆめうつつ- ページ17
自分で言うのもあれだけど、私の朝は早い。
朝は大体5時起きで、そこから30分で用意をする。
昨日帰国したところでさすがにアパートなんて借りれるはずもなく、恵ちゃんが部屋貸そうか?と心配そうに聞いてくれたが、丁重にお断りした。
ちなみに美帆ちゃんには汚いからダメだと目で訴えられた。
今度掃除にでも行ってあげようと心に決めた。
翔北近くのホテルが取れたので、家を見つけるまではホテル暮しになりそうだった。
ちなみに交通手段はバイクである。
車よりは整備費もやすいということで、2年前に購入したものだ。
古なじみの友人の車庫を借りて置いているものを、帰りにでも取りに行かないとなぁ。
さて、病院につくと何をするわけでもないが、今日の予定確認や事務作業、そこから病棟患者の容態をそっと見て回る。
7年間、どこに行ってもこれを毎日やってきた。
さてさて、朝の日課が終わって脳外科ブースの自分の机でPCを弄っていると、背後がやけに騒がしくなった。
「…む?」
「わっ、こっち向いた!顔ちっちゃ!」
「肌も白いし髪サラッサラ…羨ましい…」
「高校生みたい…」
────私は珍獣か。
そして最後のはもう慣れた。
仕方なしに遠巻きに私を見ている、恐らく新人看護師たちに、笑顔つきの会釈をする。
「あっ、よ、よろしくお願いします!
じろじろ見てしまってごめんなさい…!」
「いえいえ。
朝の会議で紹介に上がると思いますが、元救命医の香坂Aです。
こちらこそ、よろしくお願いします」
なんて挨拶を新人ちゃんずに数回繰り返したところで、朝はさほど高くない私のテンションが急降下を始めた。
「なんか無駄に疲れた……」
「朝から大注目だな、脳外科期待の星さん?」
「おはようございます新海先生。
そうですね、檻の中のパンダがスマホのカメラ向けられる気持ちが今なら少しわかります」
「ははっ、なら俺も撮ろうかな」
いやいや、私アイドルじゃないですよ?
「あまりちょっかいかけすぎると、嫌われるぞ」
どすん、と隣の机に鞄が置かれる。
そろりと視線を上げると、昨日と何ら変わらない顔があって、ほっとする。
同時にすこし、気まずくて。
「おー、藍沢。
なんだ、昨日泊めてやらなかったのか」
こいつ、と私を指さすから、そんなんじゃないですよと言った時、会議の開始を告げる声があがった。
新天地にて、1日が始まろうとしていた。
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恵李 - こんにちは。恵李です。1年前からほとんど毎日見てます!続編よろしくお願いします!あの〜質問questionなんですけど、何歳ですか?私は華のJK16歳ですけど教えてください!! (2022年10月19日 22時) (レス) @page10 id: 18a46fedc8 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ayanelさん» こんにちは… (2021年9月10日 11時) (レス) id: 9a04ef101c (このIDを非表示/違反報告)
レー - 質問というか聞いていいですか? (2021年3月8日 22時) (レス) id: 88b0f39677 (このIDを非表示/違反報告)
フラ - 作品を参考にしてよろしいですか?? (2020年9月11日 22時) (レス) id: ead1db5ef4 (このIDを非表示/違反報告)
あゆか(プロフ) - とても作品内容は面白く読ませて頂きました。一言申し上げるとセリフの前に名前を書いていただけると誰のセリフだか分かりやすくてもっと良い作品になると思います。素敵な小説ありがとうございました。 (2019年12月31日 0時) (レス) id: 8f8d498a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年7月25日 21時