壊れかけのスノードーム

禁断の果実に手を伸ばして　ko-chan ページ7

学園パロ注意！


『帰りのHR始めるよ！』


その一言でザワザワとしていたクラスがシーンと静かになる。お前ら早く帰りたいからだろ、授業中はいくら先生が注意しても静かにならないくせに。


『今日は特に話すことないかな…、あ。そうだ、この席になって暫く経ったけど席替えしたい？』

｢え、したい！Aちゃん最高かよ！｣

『はい、あんた一番前の席ね』

｢ええぇ！？ごめんて｣

『じゃあ誰か手伝ってくれる人？』


皆席替えはしたいけど面倒なことはしたくないようで誰も手を挙げない。

｢せんせ、俺手伝うよ｣

『お、ほんと？渡辺くん。じゃあ少し残ってくれる？』

｢分かった｣

『はい、じゃあこれで今日は終わり！土日挟むけど羽目外して学校に連絡なんてことやめてよね！』

｢おけおけ｣



＊


『もう、あの子たち調子いいんだから…』


なんて先生は呆れたような、でも少し嬉しそうなのが表情に表れている。

そう思ってくれるほどに俺たちのことを大好きでいてくれるのが本当に嬉しい。これは一生徒としての思い。

じゃあ一人の男、渡辺航平としてはどうか、と問われると俺は嬉しくないと答える。

だってその大好きは俺じゃなくて俺たちにだから。しかもその大好きは親愛の意味合いの"大好き"だから。


『渡辺くん、ありがとね』

｢んーん、Aせんせのお願いだからね｣

『なに、内申でもあげて欲しかったの？』

｢違うし！｣


と否定すればA先生にあははっと笑い飛ばされる。


『私座席の枠組み作るから籤作ってもらってもいい？』

｢はーい｣


夕日の差し込む教室。グラウンドからは部活に励む生徒の声が聞こえる。


『青春してるねぇ、みんな』

｢せんせにもそんな時代あったっしょ？｣

『…もうあんまり覚えてないなぁ』


といって少し切なそうに笑うA先生。


『これはもうそんな時代に戻れない私からの助言。高校生なんてあっという間だから。今の一瞬しかないから後悔しないように。私みたいに後悔を残さないでね』

｢せんせ、後悔してるの？｣

『まあくだらないこととかでね』

｢例えば？｣

『もっと勉強すれば良かった、とか…好きな人に告白すれば良かった、とかかな』

｢じゃあ、俺も好きな人に告白した方がいいと思う？｣

『好きな人いたんだ、まぁ後悔しない道を選べばいいと思うよ』

｢A先生、好きだよ。ずっと前から｣


────だから俺と一緒に青春しようよ、せんせ。


マシュマロはじめました！
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