今はまだこの距離感で fkr ページ9
『お先に失礼します!』
「あ、Aちゃん!よかったらこれからご飯でもどう?」
『今日は大学の同級生と会う予定があるので』
そう断って会社を飛び出す。あの人しつこいんだよなぁ、とかと考えつつ彼が待っている居酒屋へと急いだ。
「お、A!久しぶり〜」
『久しぶり。珍しいじゃん、福良から飲みに誘うなんて』
「たまにはいいじゃん。さ、飲も!」
『んじゃあ私ビールで』
「俺もビールにしようっと」
その他にもいくつかのおつまみも注文して商品が届くまで軽く世間話をする。
「どう、最近。慣れた?」
『仕事には慣れたけどしつこい先輩がいてさ〜』
今日もご飯に誘われたよ、と彼に愚痴をこぼす。
「それはお疲れだねぇ」
『そーいえばなんで今日呼んだの?』
「あれ、今日何の日か知らない?」
『知らない』
「じゃあ教えない」
と、そんな話をしているとビールが届いた。
「じゃ、乾杯」
『乾杯』
*
「それなのにさ〜、その人は全然わかってくれなくて…」
なんだか今日はいつもに増して福良の飲むペースが早いと思ったらもう酔いが回ったようだ。
そしていつの間にか福良の好きな人に対する気持ちの捌け口にされている。
「その人はさ、俺とそれなりに仲良かったのに俺の誕生日におめでとうすら連絡してくれないんだよ!?」
『え、福良の誕生日?そういえばいつなの』
「今日だけど」
『そうなの、ごめん知らなかった。おめでとう』
「ありがとう」
『何もプレゼントとか用意してないや。なにか欲しいものとかある?』
「……なんでもいいの?」
『高すぎなければ』
「…じゃあ、」
────Aが欲しい。
『…え、いや福良好きな人いるんでしょ。私と誰か間違えてるよ』
「間違えてない。好きじゃない人とわざわざ誕生日一緒に過ごさないし。」
私も大学生の頃、福良を好きだった時期もあった。でも、今も好きかと聞かれると好きだと答える自信はない。
「今すぐ返事を頂戴とは言わないけどさ、少しずつ考えてよ」
『……うん。もう少し待ってて』
「あ、でも折角誕生日だし」
そう言って彼は私の額にそっとキスを落とした。
来年は少し別の関係で私から祝ってあげたい。
だからもう少しだけ待ってて欲しい、なんて思ったり。
*
福良さんお誕生日おめでとうございます!という作品でした。
益々のご活躍をお祈り申し上げます。
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音穏(プロフ) - まりちゃむさん» 本当ですか!!そう言っていただけて嬉しいです!リクエストありがとうございましたー! (2020年12月14日 8時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
まりちゃむ(プロフ) - 音穏さん» リクエスト叶えて下さってありがとうございます。まさにって感じです!笑 (2020年12月13日 20時) (レス) id: 3c5d7a454e (このIDを非表示/違反報告)
音穏(プロフ) - まりちゃむさん» 解釈違いでしたか…。ごめんなさい…。新しい作品を書かせていただきますね!申し訳ございませんがもう少しお待ち下さい…! (2020年12月10日 7時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
まりちゃむ(プロフ) - 音穏さん» リクエスト叶えて下さってありがとうございます!こっちのバージョンも好きなんですが彼女は年下であまり賢くなくて頑張って伊沢さんが出した本を読んでてそれに気づかない伊沢さんにかまちょされるイメージでした...。 (2020年12月8日 9時) (レス) id: 3c5d7a454e (このIDを非表示/違反報告)
音穏(プロフ) - まりちゃむさん» わー!お返事遅くなってしまいすみません…!リクエストありがとうございます!できるだけ急ピッチで書かせていただきます! (2020年11月23日 9時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音穏 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月21日 21時