夏の空に打ち上がる花火は secret ページ7
『花火大会行かない?』
「……いいよ」
ごめんね、これで困らせるのも最後だから。
*
「浴衣着たんだ」
『せっかくだからね』
「いいんじゃない」
『ありがとう…』
カラン、コロン…
私の下駄の音が二人の間で響く。
『かき氷食べようかな』
「いいよ、俺が買ってくるから。ここで待ってて」
そう言って私を残して祭りの喧騒の中へと入っていく彼。
……優しくしないで欲しい。諦めきれなくなるから。
そんなことを考えていると
「ねぇ、お姉さん1人?」
変な奴らに絡まれてしまった。
『…いえ、人と来てますので』
「俺らと一緒に回ろうよ。その方が楽しいと思うよ?」
…鬱陶しい。こんな時は無視をするに限る。浴衣に合わせて持ってきた巾着からスマホを取り出して、あたかも自分には何も聞こえていないかのように振る舞う。
「…ってめぇ、調子に乗ってんじゃねえぞ!」
やばい、やりすぎたかと思った時には時すでに遅し。私の目が最後に捉えたのは男が振り上げた手だった。
やばい、殴られると思って目をつぶった時
「なにしてんの」
と、私の分と彼の分と思われるかき氷を持って立っている彼がいた。
「お前には関係ねえだろ!」
「こいつは俺のつれだけど何か用?」
そうすると男たちは、彼氏持ちかよなどと口々に言いながらその場を去った。
『……ありがとう』
「いや、俺こそごめん。こんなことになるなら置いていかなければよかった」
と言ってイチゴのかき氷を差し出された。
『あ、お金…』
「別にこれくらいいいよ」
「もうすぐ花火上がるんじゃない?」
『うん、多分。……あ、ほら!』
ドーン
『綺麗…』
作るのには膨大な時間が掛かるのに綺麗なのはほんの一瞬だけ。
なんだか私たちの関係と似てる。
「あのさ、…」
『何も言わないで』
「……うん」
*
そして花火が終わる。
私たちはお互い何も言わずにその場から動かなかった。
でも前に進まないといけない。
『…帰ろっか』
「うん」
『ありがとう。凄く楽しかったよ』
「俺も凄く楽しかった」
『じゃあね』
「ばいばい」
別々の道を歩み出した。
「────!」
だからその後に彼が叫んだ言葉なんて私は聞いていないんだ。
さようなら、最愛だった人。
*
なんだか不思議なお話を書いてしまった…。
今度加筆修正かけるかもです。
作品の解説(?)みたいのしときたいかも。青い鳥のアプリであげます。
音穏
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音穏(プロフ) - まりちゃむさん» 本当ですか!!そう言っていただけて嬉しいです!リクエストありがとうございましたー! (2020年12月14日 8時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
まりちゃむ(プロフ) - 音穏さん» リクエスト叶えて下さってありがとうございます。まさにって感じです!笑 (2020年12月13日 20時) (レス) id: 3c5d7a454e (このIDを非表示/違反報告)
音穏(プロフ) - まりちゃむさん» 解釈違いでしたか…。ごめんなさい…。新しい作品を書かせていただきますね!申し訳ございませんがもう少しお待ち下さい…! (2020年12月10日 7時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
まりちゃむ(プロフ) - 音穏さん» リクエスト叶えて下さってありがとうございます!こっちのバージョンも好きなんですが彼女は年下であまり賢くなくて頑張って伊沢さんが出した本を読んでてそれに気づかない伊沢さんにかまちょされるイメージでした...。 (2020年12月8日 9時) (レス) id: 3c5d7a454e (このIDを非表示/違反報告)
音穏(プロフ) - まりちゃむさん» わー!お返事遅くなってしまいすみません…!リクエストありがとうございます!できるだけ急ピッチで書かせていただきます! (2020年11月23日 9時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音穏 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月21日 21時