空が泣いて笑って kwmr ページ24
『空が泣いてる』
隣から独り言のようにして呟かれたその言葉。その言葉に弾かれるようにして空を見上げるけど空は青く澄んでいた。
『狐の嫁入りです。雨降ってます』
｢え、嘘｣
そこで窓を開けてみると、成程、確かに雨の匂いがする。
｢それにしても空が泣いてるなんて素敵な表現だね｣
『あ、いやその…』
｢なんでそこで困っちゃうのさ｣
『河村さんのような語彙力の塊の方に私なんかの安っぽい表現お聞かせしてしまって…』
｢僕はAさんの表現好きだけどねぇ｣
そう言うと段々頬を赤く染めていくAさん。
『からかわないでください』
｢とかなんとか口では言ってますけど、顔は凄く真っ赤になってますよ｣
『へ、嘘…』
｢さぁどうでしょうねぇ｣
＊
『なかなか止みそうにありませんね』
｢どうでしょうかねぇ。何となくもうそろそろ空が笑う気がします｣
『その心は？』
｢そんなものありませんよ。強いて言うなら…もありませんね｣
『ふふっ、なんですかそれ』
そう言って彼女は笑った。その笑顔を見たらなんだか空も晴れるだろうという無駄な自信が湧き上がった。
｢まぁ雨がやまなかったらずっとAさんと2人でいられるのでそれでもいいですけど｣
『遣らずの雨、でしたっけ？』
｢そうですね｣
遣らずの雨、か。彼女をこの場に引き留められるならなんでもいい。
そんな時ほど予感は当たるものである。
『あ、空が笑い始めましたよ』
｢本当だ、笑っていますね｣
空とは対称的に僕の心は笑っていなかった。だって雨が止んでしまったから彼女が帰ってしまう。
だから僕は彼女の手を握った。彼女の手を離さないように。
『…どうしたんですか、私に帰って欲しくないんですか？』
｢そうかとしれません｣
『別に空が泣いていなくたって貴方がそう言ってくれれば帰らないのに』
｢空が笑っていても？｣
『勿論』
｢じゃあ、もう少しだけこのままで｣
『喜んで』
さっきまでとは変わって僕の心も笑い始めたようだ。彼女がいる限り途中で泣くことがあっても最後には笑っていられるだろう。
空は憎たらしいほどに笑っていた。
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音穏(プロフ) - まりちゃむさん» 本当ですか！！そう言っていただけて嬉しいです！リクエストありがとうございましたー！ (2020年12月14日 8時) (
レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
まりちゃむ(プロフ) - 音穏さん» リクエスト叶えて下さってありがとうございます。まさにって感じです！笑 (2020年12月13日 20時) (レス) id: 3c5d7a454e (このIDを非表示/違反報告)
音穏(プロフ) - まりちゃむさん» 解釈違いでしたか…。ごめんなさい…。新しい作品を書かせていただきますね！申し訳ございませんがもう少しお待ち下さい…！ (2020年12月10日 7時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
まりちゃむ(プロフ) - 音穏さん» リクエスト叶えて下さってありがとうございます！こっちのバージョンも好きなんですが彼女は年下であまり賢くなくて頑張って伊沢さんが出した本を読んでてそれに気づかない伊沢さんにかまちょされるイメージでした...。 (2020年12月8日 9時) (レス) id: 3c5d7a454e (このIDを非表示/違反報告)
音穏(プロフ) - まりちゃむさん» わー！お返事遅くなってしまいすみません…！リクエストありがとうございます！できるだけ急ピッチで書かせていただきます！ (2020年11月23日 9時) (レス) id: ec43fdd9d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音穏 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年7月21日 21時
