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「俺は存在しないものは存在しないものと定義する」
 暁は、流れ行くかつての繁華街を眺め、呟く。
「では、怪物でも物の怪でもないものは何?この世界は存在しないのに。暁は、存在を確実に証明できるとでも?なんて傲慢」
 ちいさくて、やんちゃで、あたしに泣いて縋ることしか出来ないような奴の癖に。
「おいおい…俺はそこまでじゃあ無いぜ?俺が妖怪変化だと定義するのは、存在するべきでないものだ」
「存在するべきであるものの定義は何?」
「存在が必然かそうでないか、世界にとって必要か不要か、とも言えるが」
「必然性のない存在を存在しないと定義するのは…」
「何も、妙なことではないだろう?均衡は崩せる。例え些細な変数だとしてもな。ならば…」
「切り捨て、ね。そんなことならば、何れ貴方も…」
 隣に座る青年がこちらを一瞥する。彼が肯定するようにゆらりと昏く微笑んだ…ように見えた。

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作者名:みかなべ | 作成日時:2024年3月21日 18時

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