【wrwrd】え、幹部??……逃げてもいいすか【男主】

29 ページ30

そうだ、この人書類仕事の鬼だった。
一ヶ月、自室に戻ってないって……
なんか、この人がいるからこの国成り立ってる気がする。
気がするってか事実だろ。

『それ、大丈夫なんですか……?』

「ん、大丈夫」

笑いとばすかの様に告げるトントンさん。
意外と平気そう。

「最近気づいたんや。寝てしまえば起きるのは辛くなるけど、寝なければ起きる必要なんてあらへん。
つまり、そもそも寝なければいいんだって事にな」

『アウトオオオォォ!!!!』

どこも平気じゃなかった。一周回って覚りかなにかをひらいちゃっただけだった。
トントンさん戻ってこい。
ニコニコしながらそんな事をサラッと告げるトントンさんはもう駄目。アウト。

「…どうした?急に大声出して。どっかおかしなったんか」

『おかしいのは!あなたですから!!!』

覚りひらいても冷静さを失わないところがすごい。
俺の心配してくれた。
でもな、そんな頭があるんだったら自分の異常さに気づけよ!?

俺は前を歩いてたトントンさんの行く手を遮るように立つと、大声でまくしたてた。

『あなたはちょっと休みましょうか!部屋、どこです?行きますよ!!』

「えっ、そこの角を曲がったとこやけど…」

そのあとなんか言っていた気がするが、一切聞かずに腕を掴んでズンズン進んで行く。

『この部屋ですか?そうですね!?はい、さよなら』

件の部屋の前に立つと、扉を開けてトントンさんを突き飛ばした。

「おわっ、ちょ、A待てって!!まだ仕事が……」

『黙らっしゃい!!仕事終わる前に倒れます!!静かに寝てろ、分かったな!?』

それでも尚、抵抗するトントンさんがウザったらしくなって最終的に首筋に手刀を御見舞いしてやった。
うん、おとなしくなったね(物理)

とりあえずベッドに寝かせると、布団をかけて部屋を出る。
…ふぅ。終わった。
振り返ってみて思ったんだけど、俺のオカンみが溢れんばかりじゃない?
いつから俺はそんなキャラになったんだ。
なんだか俺のキャラが自分で分からなくなってきた。
一人で歩きながら、自分で困惑してる。
俺は何を目指してるんだよ。

…ん?一人で??

ふと、あることに気づいて立ち止まる。

………俺、トントンさんに部屋へ案内してもらってる途中だったよな。

あ、もしかしなくてもこれは迷子じゃん。

『…あらぁ………』

どうしよう。てかここどこ。
考え事をしながら歩いていたせいか、どこをどう曲がったかとかを全く覚えてない。

え、ピンチ。誰か助けて。

30→←28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す