とどめ ページ22
「あなた……クィレル先生？」
クィレルはいつものおどおどとした態度とは違い、落ち着いた、冷たい顔で笑った。
「私だ。ポッター、君にここで会えるかもしれないと思ったよ。
ああ、Aも来ていたのか。いつ見ても予言通りの、美しい金の髪に澄んだ青い瞳だ」
「予言？」
Aが聞き返したがクィレルはそれには答えず、ハリーに石のありかを尋ねた。
クィレルに促され、ハリーは鏡の前に立つ。しばらくすると、突然彼のズボンの片側のポケットが僅かに膨らんだ。
クィレルがハリーに、鏡に何が映ったのかと何度も質問したが彼は頑なに「ダンブルドアと握手をしている」と答えた。
痺れを切らしたクィレルはターバンを解いた。そこから現れたのは文字通り彼のもう1つの顔、ヴォルデモートだった。
ハリーは恐怖で足がすくんでしまったようだ。Aは歩み出て彼の手を握った。
「ハリー、落ち着くのよ」
そう囁くと、乱れていたハリーの呼吸が段々と落ち着いてきた。彼はAの手を固く握り返した。
「足は動く？」
「君のおかげで」
クィレルが後ろを向いて近づいてくるたびに、出口に向かって後退りをする。
「さあ『石』をよこせ」
ヴォルデモートが邪悪な顔で笑った。
「やるもんか！」
ハリーがそう叫んだのを皮切りに、2人は駆け出した。
「捕まえろ！」
その声が聞こえたと同時に、ハリーの足が止め、悲鳴をあげた。クィレルに手首を掴まれたのだ。
「
Aが咄嗟に放った魔法が当たったクィレルは仰け反った。その指を見ると、火傷したように火ぶくれができていた。
ヴォルデモートは何度もクィレルにハリーを捕らえるよう命令するが、火傷が怖いのか尻込みをしている。
捕まえることは諦め死の呪いをかけようとしてきたクィレルにAは妨害呪文を放つ。
「君って強いんだね！」
「でも、とどめを刺せるのはハリー、あなたしかいないわ」
その言葉に頷いたハリーはクィレルの腕に力強くしがみついた。クィレルの肌は、元の姿が分からなくなるほどに爛れていた。
Aは背後で何かが動いた気配がして振り返る。
ダンブルドアが来た。
安堵したAは床にへたり込み、そのまま意識を手放した。
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作者名：クラゲなお嬢 | 作成日時：2020年11月7日 17時
