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違和感を一つ数えれば、それは二つ三つと増えて。
それが全部合わさるとパズルのピースのようにカチリと嵌るのだ。
要は、そんな話。
「クソブラック企業を休む気が無いなら帰りまで無事で居ろよ」
『とんだ暴言。まだ朝だよ?分かってる?』
「会社前まで送らせてくれん奴の話なんて聞いてられんな」
『口も態度も悪いなんて…』
結局昨夜マンションに一緒に帰り、今朝の出勤も会社の最寄り駅まで車で送ると聞かずに今に至る。過保護は相変わらずだがよく考えて欲しい。会社前で顔だけはイケメンな男の車を降りる所を見られたくない!…という私の我儘で幾らか譲歩してしまったが小言は止まらない。
まぁまぁと最後に宥めていれば扉を閉める直前「行ってらっしゃい」と相変わらず低い声で言ってきた。久々のその台詞。それだけで私の心はふんわりと軽くなる。流石幼馴染、なんてらしくないことを思った。
『いってきます』
今日、全てが終わるらしい。
*
相変わらずの残業ムーブです乙。
誰?提出期限が明日の書類を回してきたの。
会議資料のコピーを追加させて来た人。
ノー残業デーなんて神話でしょ絶対。
ゾンビと化した女の先輩と愚痴を言いつつ私服に着替える。その間に無理矢理入れさせられた我々だのグループLIMEに約束させられた通り"今から帰ります"と一報入れる。
じゃあ、お疲れ様でしたと会社前で別れて女の先輩とは反対方向に歩く。こっちの方向って人が少ないんだよね。
だからこそストーカーに気づけたし、恐怖を覚える事が出来たんだけど。今日ばかりはなんとも言えぬ、複雑な気持ちが私の胸を支配していた。
思い返せば不思議だった。
偶然を装って会うことも多かったし、優しくて本当にお世話になったんだけど。決定打は先日の一言。
鬱くんと帰った昨日、会話の中で仕事の後友達と会うとは言ったけど。
私、家が近くなったなんて貴方には言ってなかったし。
私が歩くのを止めれば、もう一つの足音もピタリと止まった。
『…どうしたんですか?先輩、』
くるりと振り向いた先に居たのは驚きもしていない表情の人。
チョコをくれる、3個上の同部署の男性の先輩だった。
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まる(プロフ) - 久々にこの手の類を見たくなって、極道に始まり、距離バグと脅威入手…団子侍様の独特で丁寧な小説を読んでしまうと、上質すぎて中々他のお話へ飛べませんw 楽しいお話をたっぷり読めて嬉しいです!今後も応援しております…! (2023年4月10日 8時) (レス) id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 完結してから一番乗りの超絶早いコメントありがとうございます!冬野様には何度もコメントを頂いて本当に嬉しかったです!最後までお付き合いありがとうございました! (2022年8月19日 1時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
冬野(プロフ) - わぁ〜!番外編までお疲れ様でした。すごく好きです。めちゃくちゃ好きです。ありがとうございました。大好きです。(語彙を失う) (2022年8月19日 1時) (レス) @page50 id: 017b983cf1 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - みひろさん» コメント&ここまで読んでくださって本当にありがとうございます!正しく全員分の心の内だったりを細かく書いて最後に終わりたいな〜と思っております!完結はしましたがどうぞ最後までお付き合い頂けると嬉しいです♪ (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
団子侍(プロフ) - 冬野さん» 冬野様 ご丁寧に、また思いの籠ったコメント頂き本当にありがとうございます。色んな方の反応やお声に支えられて無事完結できてホッとしております。今後とも何か作品をあげましたら是非宜しくお願いします! (2022年8月15日 14時) (レス) id: 1692a09b95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:団子侍 | 作成日時:2022年1月30日 13時