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ばっちり見えるところに鬱血痕をつけてくれた五条くんを一度ぶん殴って高専にトんでもらった。
…どうしよう、これ。みんな絶対わかるよね。
どうしよう。あの二人も絶対心配する…いや、待って。
もしかしたら「か、彼氏できたの!?」「嫁に行く娘を見守る父の気分になった…」とか言われそうだ。
「なに〜? どうしたの、そんなにキスマーク見つめちゃって!」
「鬱血痕ね」
「いやいや、違うでしょ〜」
「違わない。…付き合ってもないのに…」
変なの。背高な五条くんを見上げれば、彼は呆気にとられた顔をしていた。この顔、さっきも見た気がする。
「…変じゃないの、僕Aのこと好きだもん」
「いつか僕のこと好きって言わせるからね〜」そう笑ってどこかへ消えた。多分任務に行ったんだろう。
…とりあえず、傑くんを探そう。
*
*
*
「あっ、傑くん」
「Aッ!! 大丈夫だった…か…い、」
ぴたりと動かなくなった傑くんにどうしたの? と訊ねた瞬間、ガッと肩を掴まれた。
目がガンギマっている。どうした、冷静担当夏油傑。
「コレ、悟だよね?」
「えっ? そ、うだね」
「…いいかい? A」
傑くんは、十年前、私たちが毎日通っていた教室に私を連行して、私の席に座らせた。傑くんは当時夜蛾先生が立っていた、教卓に立った。
「男はみんな狼なんだ。私は別だけど」
「知ってるよ。でも傑くんも同類だよ」
「私は違うよ。でもね、悟は一番警戒しなきゃいけないんだ」
「…はあ」
「いい? 絶対悟の家なんか着いていっちゃだめだよ。アイツは何をするかわからない」
「知ってるよ」と答えれば、「いい? 絶対だからね」と傑くんが念押しした時だった。背後でゆらりと大きな影が揺れた。傑くんの切れ長な瞳がはち切れんばかりに見開かれる。
「酷いなあ、傑ぅ。僕本命はちゃぁんと大切に扱うタイプだから」と五条くんがへらへら笑っていた。
「君は信頼できないんだ。私のかわいい幼馴染を簡単にはあげられない」
「ハッ、オマエってAのオカンなの? 過保護にも程があるじゃん?」
「さっきから言ってるだろ。君は信頼できないんだよ」
「えー? だって好きだからいいでしょ?」
「ねー、A」と五条くんが顔を覗き込んでくる。
…いやよくない。全然よくない。
「…傑くんの勝利」
「えっ」
「ほら見ろ、お前じゃ駄目なんだ」
残念だったね悟、と傑くんはニヤニヤ五条くんを見つめた。…ちょ、言い方が、
「…傑、ちょっと表出ろや」
「いいよ、ぶっ殺してやる」
気づいた時には二人はもうグラウンドにいた。……またか。
◇
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まいとりー。(プロフ) - 紅葉夕さん» 紅葉夕さん、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉ありがとうございます! すごく嬉しいです。楽しんでいただけてよかったです!! 文字書き同士、一緒に頑張っていきましょう!! (2022年8月26日 21時) (レス) @page40 id: cfb5124360 (このIDを非表示/違反報告)
まいとりー。(プロフ) - マリオットさん» コメントありがとうございます〜!この作品に貴重なお時間を使っていただけて本当に光栄です…。恋愛は書き慣れていないので私自身不安なんですけど、ぜひ楽しんでいただけるように頑張らせていただきます!! 応援、本当にありがとうございます! (2022年8月6日 19時) (レス) id: cfb5124360 (このIDを非表示/違反報告)
マリオット - 面白過ぎて…感動です… 応援してます‼ (2022年8月6日 16時) (レス) @page5 id: 4a1e7dbbbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐちや | 作成日時:2022年8月5日 7時