愛しい背中に触れるとき ページ6
◇
始業の時間になって、別室で待機していた私を傑くんが迎えに来た。
連れてこられたのは、恐らく一年の教室。何人かの話し声と、それから───…
「え〜? なになに? 誰なのよ、新しい先生ってさー!」
数年ぶりに聞く同期の声だった。
昔よりも更におちゃらけた口調になっているようないないような気がするが、特に関係ない。ただの同期でただの同僚だ、彼は。
「それじゃあ、私が呼んだら入ってきてね」
「うん、わかった」
ひらりと手を振って、傑くんは教室の中へ消えた。
「それじゃあ、待ちに待った新しい先生を紹介するよ」と彼の声が聞こえる。
「はい質問!」
「何だい悠仁」
「女の先生ですか! 男の先生ですか!」
「虎杖ナイス! 私も訊きたかったのよ!」
活発そうな男の子と女の子の声。一年の虎杖悠仁くんと、釘崎野薔薇ちゃん、かな。仲良くなれたらいいな。
「ああ。綺麗でかわいくて強い人だ。もちろん女性だよ」
「えー! めっちゃ楽しみ!!」
「早く紹介しなさいよ!」
「二人が訊いてきたんじゃないか…」
ちょっと待ってよ、傑くん。そんなにハードル上げないでよ。
一気に教室に入りたくなくなった。しかも五条くんの嬉しそうな声まで聞こえてくる。…ああ、嫌だ。
いくら同期とは言え、絶対またなんか言ってくるんでしょあの人…永遠の五歳児、天上天下唯我独尊の五条悟くん。
しかも、硝子ちゃんまでそれを肯定した。酷すぎる、あの二人。純粋な生徒たちの期待を裏切ったらどうするつもりだ。
「それじゃあ、入っておいで」
震える手で教室のドアの取っ手に手をかける。
…落ち着け、落ち着け、私。これは仕事なの。
教室に入れば、たくさんの視線が体に突き刺さるのが嫌でも分かった。この感覚は嫌いだ。
「星霜Aです。一年生と二年生の副担任に…なるのかな?」
傑くんが大きく縦に頷くを見て、ふう、と息が漏れる。
…五条くん、アイマスクになったんだ。完璧にあれは不審者でしかない。
てか、何あの顔。口が開きっぱなし。
「高専卒業後に別の仕事をしていたんですけど、訳あって戻ってきました
多分わからないことだらけだと思うので、迷惑かけることもあるかもしれないけど、よろしくね」
ぺこり、とお辞儀をして顔をあげた瞬間、茶髪の美人な女の子が椅子を倒しながら立ち上がった。
「めっちゃ美人じゃない!!!!!」
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まいとりー。(プロフ) - 紅葉夕さん» 紅葉夕さん、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉ありがとうございます! すごく嬉しいです。楽しんでいただけてよかったです!! 文字書き同士、一緒に頑張っていきましょう!! (2022年8月26日 21時) (レス) @page40 id: cfb5124360 (このIDを非表示/違反報告)
まいとりー。(プロフ) - マリオットさん» コメントありがとうございます〜!この作品に貴重なお時間を使っていただけて本当に光栄です…。恋愛は書き慣れていないので私自身不安なんですけど、ぜひ楽しんでいただけるように頑張らせていただきます!! 応援、本当にありがとうございます! (2022年8月6日 19時) (レス) id: cfb5124360 (このIDを非表示/違反報告)
マリオット - 面白過ぎて…感動です… 応援してます‼ (2022年8月6日 16時) (レス) @page5 id: 4a1e7dbbbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐちや | 作成日時:2022年8月5日 7時