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◇
「ね、ねえ硝子、傑、アイツは？ Aは？」
「え？ …ああ、悟には言わなかったんだっけ、結局」
「は！？」
「A、最後まで言えなかったんだな。アンタに」
そんな風にはぐらかしてくる二人に、我慢できなくなって「早く言えよ！！」と矯正したはずの口調が荒くなった。…仕方ないと思う。
「Aは呪術から足を洗ったよ」
「…は？」
傑の言葉は簡単なことを表している。それでも、頭がそれを理解することを拒否している。
…信じたく、なかった。
「…な、んで、」
なんで、言わなかったんだよ。
心にぽっかり穴があいたみたいだった。
喪失感とか、虚無感とか。そういう言葉を音楽やドラマでベタなセリフになったりしてよく聞く。だから理解できなかった。そんなもんはないって。
ああ、こういうことなんだ。
大事なものを失うって、こういうことなんだ。
失いかけただけでは理解できなかったその気持ちが、痛いほどわかった。
正気でいられなくなりそうだけど、あんまり干渉すると逆に警戒されるし、今は苦手で済んでいることが、終いには嫌われてしまいそうだからやめとこう。
「Aは今出版社に就職したよ」
「しゅっぱん、しゃ、」
「ああ。新潮社だってさ」
「道尾秀介さんが好きなんだ」と言っていた記憶がある。
新潮文庫の、編集部。何だか手の届かないところに行ってしまった気がする。
Aは普通の人生を送り始めていたんだ。もしも呪術なんか、呪いなんかない世界だったら、僕も傑も硝子も、呪術師や補助監督、これから呪術に携わるであろう者たちが進むはずだった道に、進み始めているんだ。
普通の人生が、生活が、それが、Aが本当に、やりたい事だったのだとしたら。
凄く、寂しい。どうしようもなく寂しい。
きっと硝子も思っているはずだ。傑はきっと、知ってたんだろうけど。
僕だけ教えてくれなかったって言うのも、なんかなあ。
いや自業自得だけど。あんなに酷いこと言ってきたから。
「…戻ってきたり…とか、ないよね、」
ああもう、なんか言ってて自分で哀しくなってきたんだけど！ なんて笑ってみせたら、傑と硝子が変な顔をして、僕を見ていた。
◇
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まいとりー。(プロフ) - 紅葉夕さん» 紅葉夕さん、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉ありがとうございます！ すごく嬉しいです。楽しんでいただけてよかったです！！ 文字書き同士、一緒に頑張っていきましょう！！ (2022年8月26日 21時) (
レス) @page40 id: cfb5124360 (このIDを非表示/違反報告)
まいとりー。(プロフ) - マリオットさん» コメントありがとうございます〜！この作品に貴重なお時間を使っていただけて本当に光栄です…。恋愛は書き慣れていないので私自身不安なんですけど、ぜひ楽しんでいただけるように頑張らせていただきます！！ 応援、本当にありがとうございます！ (2022年8月6日 19時) (レス) id: cfb5124360 (このIDを非表示/違反報告)
マリオット - 面白過ぎて…感動です… 応援してます‼ (2022年8月6日 16時) (レス) @page5 id: 4a1e7dbbbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぐちや | 作成日時：2022年8月5日 7時
