たった四文字の関係 ページ16
◇
「…カフェ?」
「そう!! 一回来たかったんだよね〜、僕」
連れてこられたのは最近話題だというカフェ。…そういえば、友達が「一緒に行こうね!」と誘ってくれたんだっけ。ごめん、味見しとくね、今度奢るから許して。
「いやここのキャラメルハニーパンケーキが美味しいって有名でさ〜!」
「キャラメルハニーパンケーキ……」
凄い既視感。と思いながら「そうなんだ」と相槌を打つ。
メニューに例のそれが載っていたが、とてつもなく甘そうだ。胸焼けしそう。
芽吹くんは糖分が必要なのか。曲書かなきゃだしね。いつも午後ティーばっか飲んでるし。
「何にするー?」
「あー…五条くんセレクトでいいよ。美味しかったら何でもいいかな」
「えっ、僕が選んでいいの?」
「うん」
そっかあ。ふにゃりと笑って五条くんはメニューに視線を戻す。
スマホの緑のアイコン ───メッセージアプリ「LAND」─── に目を向けると…えっ、通知183件? 何事?
恐る恐るLANDを立ち上げると、いつものグループが動いていた。
見てみると、芽吹くんと奏くんからだった。「五条悟はだめ!」「何されるかわかんないから!!」「スマホ見て!!!!」などなど。
そんなに五条くんの悪評は広まっているのか。2人とも同じ出版社からフリーの補助監督に転職したけど…って、五条くんって五条家の御当主様だった。そりゃ有名だ。
二人を落ち着かせるために「大丈夫、五条くんほんのちょっとだけ無害になってるから」と返信して、スマホを置いた。
「誰からー?」
「…名前言ってわかるかな…。芽吹くんと奏くん───月白芽吹と天雲奏だよ」
「ああ、あの二人ね」
「知ってるの?」
「もちろん」
五条くんが補助監督のことを覚えているなんて珍しい。…何か理由があるのかも、深くは聞かないでおこう。
彼はいつの間にか注文を終えていたみたいで、頬杖を突きながら私を見ていた。
「ねえ、高専にはもう慣れた?」
「うん。生徒のみんなも優しいし。…でも、最近全然任務が回ってこないんだよね」
五条くん、なんか手回してる? 疑うような視線を投げれば、五条くんは悪びれることもなく頷いた。
「…どうして?」
「言ったでしょ。僕、大切なものは絶対失いたくないの」
声色はいつも通り明るかった。それでもどこか冷えた何かがあるような気がして、肝がゆっくりと冷えていくのがわかった。
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まいとりー。(プロフ) - 紅葉夕さん» 紅葉夕さん、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉ありがとうございます! すごく嬉しいです。楽しんでいただけてよかったです!! 文字書き同士、一緒に頑張っていきましょう!! (2022年8月26日 21時) (レス) @page40 id: cfb5124360 (このIDを非表示/違反報告)
まいとりー。(プロフ) - マリオットさん» コメントありがとうございます〜!この作品に貴重なお時間を使っていただけて本当に光栄です…。恋愛は書き慣れていないので私自身不安なんですけど、ぜひ楽しんでいただけるように頑張らせていただきます!! 応援、本当にありがとうございます! (2022年8月6日 19時) (レス) id: cfb5124360 (このIDを非表示/違反報告)
マリオット - 面白過ぎて…感動です… 応援してます‼ (2022年8月6日 16時) (レス) @page5 id: 4a1e7dbbbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐちや | 作成日時:2022年8月5日 7時