イグニス１ Bad end ページ9
目を覚ますと、暗い場所にいた。
俺は何してたんだっけ…。
確かオルティシエに行って、そこで水神リヴァイアサンを呼び出して…。
「やっとお目覚めになられましたか、お姫様？」
ここがどこなのか知りたい。どうやら自分はうつぶせに寝ていたようで体を起こそうとすると上の方から楽しそうな声が降ってくる。
「起き上がれないの？手伝おっか？」
体を起こすよりも先に振り返るとにやけた顔でこちらに手を差し伸べてくる男の姿が目に入った。
それはいつも”いいタイミング”で現れ、助言や苦言をしてきた男アーデンだった。
「どうしたの？じっとみちゃってさ…あーそうかあ、体が痛いんだね。じゃあ抱き起してあげ…」
しゃがみこみ俺に手を近づけてくる男の手を力いっぱい払いのけた。するとアーデンは一瞬驚いたような顔をしていたが、また笑顔を張り付かせて立ち上がる。
こいつが饒舌なときはろくなことがない、それに自分で起きれる。
やけに重い上半身を腕の力だけで起き上がらせ、膝をついて立ち上がる。体がまるで鉛のようで一歩踏み出すことすらできず、足は体を支えるだけで精いっぱいだった。
すると「ふーん」と興味深そうに俺の周りを回り始め、背後に来るやいなや俺の体を突き飛ばし、その衝撃でまた床に倒れこんでしまう。
「やっぱりだめかあ…うまくいくと思ったんだけどなあ」
こいつ、一体何のつもりださっきから…。
苛立ち、さっさとこの場から去ろうとまた体を起こそうとした時だった。アーデンは俺の前まで来ると靴のつま先で俺の顎をすくい上げるように動かし上を向かせる。
体がこんなに重くなければ今すぐにでも切りかかってやりたいが、今は体を起こす力だけで精いっぱいで。顔を背けそれから逃れようとした時だった。
「ねえ、覚えてる？」
その声に俺の動きは止まり、視線が上を向く。
アーデンと視線があい、彼は唇を片方吊り上げた。
「俺が君を殺しちゃったときの事をさ…」
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作者名：オチャネコ | 作成日時：2019年10月22日 12時
