七話 手合わせ ページ9
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「手合わせェ?」
沖田さんの突拍子も無い提案に土方さんが素っ頓狂な声を上げる。
ん"んっと咳払いをした土方さんは沖田さんを睨み付けた。
「ンな事許可できる訳__」
「あれ、良いんですか?彼女の力、知っておかなくて」
沖田さんの言葉を聞いた土方さんは彼を更に睨みながら少しの間口を閉ざすと、舌打ちをして「仕方ねぇな」と呟いた。
二人の後ろに着いて稽古場に向かう。
木刀が打ち合う音と隊士達の声が段々と聞こえてきて稽古場に近付いていることがわかった。
沖田さんがカラカラと戸を引くと、一気に音が溢れる。
一人の隊士が此方に気付き「辞め!」と声を張る。
一斉に音が止み、注目されることとなった。
「御免ね、
「勿論です」
沖田さんが傍に居た隊士の一人から木刀を受け取り私に渡してくる。
「これ使いな」
「はあ…」
道場の真ん中に進む彼に合わせるように隊士達が壁際に寄り添うように下がる。
「何してるの?此方に
どうやら本気だったらしい。
手足首を回しながら沖田さんは私に声をかけてくる。
たぶん、逃れられないだろう。
「手なんか抜かないでよ?」と云う言葉に頷くと満足そうに笑った彼はそれじゃあ始めようか、と土方さんに合図をした。
「____始め!」
× × ×
《土方視点》
隊士の号令と同時に双方がそれぞれ木刀を構える。
焔は構えなかった。ただ木刀を握って居るだけで切っ先は地を向いている。
「
「沖田さんを愚弄する気か?!」
「黙って見てろ」
ザワつく隊士を諫め自分も二人の試合に集中する。
いつものように向かっていく総司の刀を、焔は軽々と避けて居る。
総司に引けを取らず一進一退の攻防が続く。
信じ難い光景だった。
ほんの数刻で焔の力量は嫌という程感じ取れる。
「辞め」
勝負はつかないだろう。
そう考え俺は二人を止めた。
× × ×
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アルム(プロフ) - 優奈さん» コメントありがとうございます(T_T)これからもゆっくりですが更新頑張ります! (2021年7月9日 8時) (レス) id: cdfe86e34f (このIDを非表示/違反報告)
優奈(プロフ) - まだ少ししかお話が出ていないけど、もう既に面白い!更新頑張って下さい!!応援してます! (2021年6月20日 21時) (レス) id: 9adca48001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルム | 作成日時:2021年6月15日 8時