玖話 籠の鳥 ページ12
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「焔くん！」
「山南総長、不逞浪士三人を捕縛しました」
「...わかりました。彼らは私たちで連れて帰ります。貴女も帰りますよ」
「............はい」
頭を下げる店主に会釈をし、私は総長と屯所へと戻った。
自由は一瞬だった。
「団子を食べようとしていたら騒ぎを聞き、見に行ったら後ろから押されて運悪く見つかり絡まれて、ああなったと……」
「はい」
「そうですか……」
私はまたあの日の夜のように幹部たちに囲まれていた。
「1人でやったのか？」
「…はい」
「何故誰かしらを呼びに来なかった？」
「呼んでいる間に取り返しのつかない事になったら本末転倒ですし、
私の事を
「………成程な。バレてた訳だ」
「ねぇ土方さん？そろそろ良いんじゃない？」
総司の言葉にその場の空気が重たくなった気がする。
「ハァ…そうだな」
考え込んだ後、土方さんは私を見据えて「悪かった」と一言告げた。
「………は？」
「ここ数週間、何か起こすんじゃねぇかと思って監察方の人間を張らせてた。
剣の腕が立つ女＿＿＿正直、疑ってた」
一瞬口を噤んだ土方さんはそっと息を吐いた。
「新撰組に正式に迎え入れたい。今度こそ、本気で」
「私、女ですよ？」
「あァそれが何だ？性別なんて知ったこっちゃねえ。他の隊士に知られると色々と面倒だから隠しはするが、俺らの目指す信念に進むためならどんな手だって使ってやるさ。俺ら新選組は焔、お前が欲しい」
行く宛てなんか無い。
目指すものも無い。
ただつまらない人生を歩むのなら。
「…一度預けた命、この新選組のために使ってください」
此方の方が幾らかは
「んな駒みてェな扱いはしねぇよ。簡単には死なせたりはしないから諦めろ」
「あーあ、これで斬る約束守れなくなっちゃった」
「総司、まだそんな事云ってたのか？」
総司の言葉に苦笑した左之さんが私に謝ってから、良かったなと笑った。
「良かったのかなあ。私は斬られたかったのに」
「はぁ？！なんでAまで総司みたいなこと言ってんだよ」
嫌そうな顔をした平助を見て自然と笑みが零れた。
「御免、御免」
籠から出された鳥、なんて。
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アルム(プロフ) - 優奈さん» コメントありがとうございます(T_T)これからもゆっくりですが更新頑張ります！ (2021年7月9日 8時) (
レス) id: cdfe86e34f (このIDを非表示/違反報告)
優奈(プロフ) - まだ少ししかお話が出ていないけど、もう既に面白い！更新頑張って下さい！！応援してます！ (2021年6月20日 21時) (レス) id: 9adca48001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルム | 作成日時：2021年6月15日 8時
