忘れ得ぬ記憶《要の場合》 ページ10
法衣を脱いでから共有ルームに入った。
もう夜7時を回っていて、リビングではすばちゃんが録画しておいたのか全国バスケをなっちゃんと見ている。
夕食を食べにキッチンに行くとAが勉強をしていた。
「あっお帰りなさい」
「おかえり〜」
奥ではあーちゃんがパソコンに向き合っている。
「Aは課題?」
「中間テストがあるの」
「へぇ、懐かしいな」
「かな兄、これ答えわかる?」
「ん?見せてごらん」
椅子を引いてAの隣に座る。
京兄が夕食を置いてくれたからお礼を言ってAがいった問題に目を向ける。
「...ああこれは秋篠月清集だよ」
「......何ソレ」
「うん、捨て問でいいよたぶん」
「何これー!知らなーい!」
文句を言いながらも目の前の問題と格闘しているAをみて微笑ましい気持ちになった。
兄バカかな、俺も。
・
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風呂から出て自室へ戻ろうとすると、キッチンの明かりがまだ付いている。
京兄の消し忘れかな?
階段を降りてキッチンを覗くとAが食卓にいた。
「A」
「びっっ......くりしたぁ!心臓に悪いよかな兄!!!」
「ごめんごめん。まだ勉強してたの?」
「そっ。今さっき終わってボーッとしてた」
「早く寝るんだよ」
「ねぇかな兄」
Aの頭を撫でて今度こそ自室に戻ろうとすると呼び止められる。
「ん?」
「元気ないね?」
「へ?」
俺をじっと見てくる11歳年下の妹。
「なんでそう思うの?」
「なんかいつもと違うな〜って」
「そっか」
これ以上何も言う気のない俺を見てAは抱きついてきた。
背伸びをしても尚届かなくて少し屈んだ俺の首に腕を回し、離れない。
「A?」
急な行動に驚いて名前を呼ぶと
「おまじない」
離れながらそう言って笑ったAの顔を見て俺は、危うく泣きそうになった。
「...ありがとう」
「どういたしまして」
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・
『あの子が泣きそうなときは、俺が”おまじない”を』
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芥川さん芥川先生大好きハァト?(?´▽`?)(プロフ) - コメント失礼します、このふたつの作品を小さい頃にみて好きになった作品なんです。それを、このアプリでまた見れてとてもなんだか嬉しくなりました。内容もとても現実味があってとても好きになりました!思い出させてくれた作品でした、ありがとうございました (2022年10月20日 3時) (レス) @page36 id: e045e2365d (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - ルナさん» 最後までありがとうございました!自分の作品をそう言って頂けて嬉しい限りです...泣 (2020年8月11日 12時) (レス) id: 9fec9f9c9f (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 本当にお話が面白くて、感情移入しすぎて何回も泣いてしまいました笑。ディアラバもブラコンも好きなので読んでいて飽きませんでした。シュウ達の優しさに改めて惚れました笑。本当に面白かったです。 (2020年8月11日 0時) (レス) id: e324944dd9 (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - 凛さん» わー!ありがとうございます!!原作も是非見てみてください!(笑) (2020年7月9日 20時) (レス) id: 9fec9f9c9f (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - コメント失礼します!!あまり知らないものだったのですが、最後まで一気に読んじゃいました!!完結お疲れ様でした!!最後の方はなんだかウルウルしちゃいました笑 (2020年7月8日 9時) (レス) id: 2f507e2d7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルム | 作成日時:2020年5月16日 18時